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しばらくは、グンタって奴と一緒に立体機動で森を飛ぶ練習をしていた。ついでに、バレない範囲で化け物的な身体能力の使い方も分かってきた。
練習に呼び出されるまでは、一応監禁されている城の中の一室で過ごしている。扉に鍵が掛けられているが、別にそれだけなので出ようと思えば出れる。まあ、試してみようとは思わないけど。
そして練習開始から一週間後の朝、グンタが今日はまず違うところについて来いと言う。どうしようか一瞬迷ったが、逆らう理由も特にないので大人しく付いて行く。

「ここに一人で入ってくれ」

そこそこ大きな扉の前で言われた。なんだろうか。少し警戒しつつもドアノブを捻って部屋に足を踏み入れる。

「失礼しまー、」

ビビった。部屋にいたのは、名前忘れたけどあのマッドサイエンティストと、身長160センチの30代のおじさんだった。いやいや。心臓に悪いから。もうそろそろ若くなくなってきてるんだからやめてほしい。まあそれでも、こいつよりは若いんだけどね。笑っちゃうよね。笑えないよね。

「お!きたね!」
「……何か、用?」

マッドサイエンティストのポニーテール眼鏡がテンション高めに話しかけてくる。なんだよ。クンレンなら真面目にやってるぞ。

「聞いて!!聞いてくれるかい!?あのね、私のソニーとビーンが……ああ、ソニー……ビーン……可哀想に……」

いや、誰だよ。

「実験用に捕獲していた巨人が2匹殺された。てめえに心当たりは」

親切に説明してくれるちびなおっさん。言ってる言葉はさっぱり親切じゃないけど。

「そんなのあるわけないでしょ。私、監禁されてるんだよ?」
「ごめんね!悪いとは思ってるんだけど…君を守るためでもあるからさ!」
「っは」

聞きました?いまこの人鼻で笑いやがりましたよ。腹立つなあ。

「なんか文句でも?」
「てめえ相手に鍵なんて意味あんのかよ」
「…じゃあ何?私を疑ってるわけ?」
「ああ、少なくとも訓練兵団の腰抜けなガキ共よりは疑ってるな」
「あっそ」

別に。そりゃあ、当然だろ。化け物なら不祥事があったときに真っ先に疑われるさ。仕方ないことだ。今更そんなことでなにか思うようなことがあるわけない。だってそんなの、当たり前でしょう?
それにもしかしたら、私が無意識のうちに食ったのかもしれない、し?
笑えないなあ、本当に。

「それで?私は自分の無罪を証明できないけどあなた達は私の有罪を証明できないよね?話は終わり?帰っていい?」
「ああ!わざわざ呼び出して悪いね!何か証拠でも見つかったらよろしく頼むよ」
「なんならてめえの腹かっさばいて巨人の死体が入ってねえか確認したらいい、そしたら信じてやるよ」

ああ?いちいちうざったい野郎だな。てめえの腹を捌いてやろうか。

「失礼しましたあ!」

バタン。我ながら餓鬼っぽいと思いながらも音を立てて扉を閉めた。そして待っていたグンタについて行きながら考える。
あいつ、最後まで私の目どころか顔さえ見なかったな。
それが何を意味するのか、残念ながらバカな私にはわからないけれど。

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