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「とりあえず、立体機動装置で飛べるようになってほしい」

喉まで出かかった「普通に無理だろ」という台詞を苦労して飲み込む。だってこの立体機動装置とかいうやつ、構造がややこしくて意味がわからない。文系なめんなよって感じである。

「私、それがなくても跳べるし」
「君は最終兵器なんだ。できれば人間のふりをしておいてもらいたい。その点についても利害が一致していると思っていたのだが」
「あーはいはい、やりますよ、やればいいんでしょ…」

この狸ジジイ。いちいち腹立つなあ。

***

というわけで、不本意ながら立体起動の訓練をさせられることになってしまった。…リヴァイ班といかいう奴らと、一緒に。あの金髪ジジイ、いつか絶対殺してやるからな。あえて自分で食べずに巨人の餌にしてくれるわ。
現在地はいかにも古めかしい城。この城の目的は私ではなく主人公を囲うため、だそうだ。唯一の救いは一人可愛い女の子がいること。眼福である。
しかしその女の子ではなく、目の前の坊主頭に立体機動を教わるらしい。モチベーションが下がった。不味そうだし。

「グンタ・シュルツだ。よろしく」
「どーも」

差し出された右手を、少し迷ってから握った。自分より20センチくらい高いところにある頭をジロジロ見ながら考える。こんなキャラいたっけな?まあでもそこそこメインキャラっぽいし、いたのだろう、多分。

「じゃあ早速立体機動の訓練を始めさせていただく。時間がないのと、貴女は運動能力が高いらしいので実践的な練習からやっていこうと思う」
「はあ」

こいつ、やけに順応能力高いな。訝しむような気味悪がるような様子もなし。そもそもわたしが人間じゃないことを知っているのか?

「何か質問は?」
「…私は自分の能力をどこまで開示していいの?」
「貴女の判断に任せる、とのことだ」
「ふうん」

人間らしくしとけってことかな。まあ、人間っぽさを身につける練習だもんな。

「じゃあ私のこと、どこまで知ってる?」
「何も知らされてはいない」
「え、何も?」
「ああ何も」
「へー、よくこんな訳のわからない指示に従えるね」
「エルヴィン団長がそう指示なさった。それだけで十分だ」
「えー…気持ち悪…」

それが心臓を捧げた人間のやるべきことってわけ?心臓を捧げたら、自分の頭脳で何も考えなくていいのか?
…それは、調査兵団の奴ら全員そうだってこと?

「他に、質問は」
「いや…ないよ」

気持ち悪い。あの金髪ジジイも、自ら進んで操り人形になれるこいつらも。

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