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「どうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう」

呟いてもどうしようもないことはわかってはいるが、口が止まらない。
えーとリヴァイには死んで欲しくなくて、でも知り合いだとバレるとマズくて、私は調査兵団の近くにいたくて、出来れば大義名分もあるとよくて、えーとえーとえーと。なんだっけ。 いやなんだっけもなにも何も考えてなくて。何も考え着く前に会っちゃったから困ってるんであって。えーと、後ろからそっと追いかけ回す?バレたら面倒だぞ?見失ったらどうする?じゃあどうするんだよ。一旦ここは引くか?いやだから見失うだろうが。えーと。どうしよう。調査兵団に入れてくださいって言う?不審者だ。仮に入れてくれるとしても、まず訓練なんとかに入れられるだろ。そんな暇はない。えーと。どうしよう。やあ、久しぶりだねちび!みたいな…いやいやいや。え?あり?いやいやいや。あいつが私のことを忘れているか、そもそもそんな出来事はなかったことになってたら終わりだろ。…そんな出来事なかったことになってたら、私があいつを守る理由、あるの?私が、守りたいと思ったあいつと別人だとしても?お前は、私は、いったい誰を守りたいと思ったの?わからない。なんにもわからない。どうしよう。この目の前の状況も、自分が取るべき行動も、自分が守りたい相手も何もかも分からない。こんなに、こんなに怖がりで弱い私にいったい何ができるというんだ?どうしよう。どうしたらいい?

「あっ…」

その光景が目に入った瞬間、散々考えていた思考回路を全て放り出し、反射的に飛び出した。

「駄目っ」

後になって冷静に考えれば、この程度の敵、あいつなら簡単に殺せたんだと思う。しかし残念ながら、その時私は全く冷静ではなく、つまりリヴァイに手を伸ばした巨人を反射的に思いっきりぶっ殺した。しかも赫子ガンガン使って。やばい。やばいやばいやばい。さっきよりよっぽどやばい。視線を感じる。やばい。どうしよう。考えるより先に、体が動いたってこういう事を言うのか。
この間二秒。パニクった私は、とんでもない手段に出た。

「こ、交渉しよう」

ああああ声が震えた。咄嗟に出た行動は、主人公であるはずの少年を赫子で拘束し脅すという、後で思い返すと自分をぶん殴りたいような、もっと他にあっただろと怒鳴りつけたいような行動だった。
えっと、そう、どうしよう。
…つ、続けるしかない。だってここまで来てやっぱなし!ごめんうそ!とかいやいやいやいや。試しに言ってみようか?きつくね?いや続ける方がキツくね?いやいやいやいや。
あー、不審がられている気がする。そりゃそうだ。とりあえずなんか言わなきゃ。えーとなんかなんかなんかなんかないか唸れ私の思考回路。

「えーと、わ、私を調査兵団に入れてください…?」

違う!それさっきボツにした案!ミス!やり直しを請求…できる雰囲気じゃない!わあ!どうしよう!

…ええい、どうにでもなりやがれ。

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