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・・・どんなに来るなと思っていても、朝は来てしまう。
・・・夢、だったのだろうか。うん、そうだといいよね、きっとそうだ。
よし、朝ごはんを食べよう。今日はフレンチトースト。我ながら上出来。
「へぇ、うまそうでさァ」
起床15分。あっさり今日1日は終わりを告げた。さよなら、私の儚い夢よ。
だけど、抵抗手段がまだある。まぁ、無視をするわけなんですね。
きっとこれは幻聴。悩みすぎによる、幻聴。
「俺の分はねェんですかィ?」
「・・・・・・・」
よくいうよね、立派な不法侵入ですよ。それも会って2日目なのに。
・・・あれ?あたしいつ鍵開けたっけ。ん?そもそも閉めたっけ・・・
「鍵なら開いてやしたぜ。全く物騒ですねィ。俺でよかったと思いなせェ」
「あんたが一番恐ろしいとおもってる」
・・・みすった。無視すらできてないぞ自分。落ち着け、よし、紅茶でも淹れようか。
「あんたじゃねぇや」
「・・・名前忘れました。すみません。というかあんたもあたしの名前忘れてるでしょう?」
「いいやー?そんなことありやせんぜ。ね、沙羅」
「・・・・・・・ああ、思い出した。沖田だったよね、確か」
まさか名前を覚えているとは。ちょっと、いやかなりびっくりだ。
というか、人に下の名前呼ばれるなんて一体何年ぶりなのだろうか。
それだけで学校行ってみてもいいんじゃないか、なんて。冗談。こいつはただ、担任に言われたからきただけで、別に、なんでもないのだから。
・・・あの時から変わっちゃいないじゃん。あたしだめだなぁ。
「・・・・沙羅?」
「・・・・・・え?あ、何?」
「いや、別に。それより制服に着替えなせェ」
「は、だから嫌だってば」
「なんでィ。手伝って欲しいんですかィ?ったく手間のかかるやつでさァ」
な・ん・で・そ・う・な・る・の
だめだ、根本的に話が違う。おかしいな、なんでこんな・・・もういい。着替えるだけ着替えて、どっかで逃げる。
こう見えて、走るのは意外と得意なんだ。うん。
「・・・着替えてくる」
「いてらー」
+++++
「・・・なんだってんでィ」
なんで、あんなに寂しそうなんだ。なんで、そんなに冷めたような目をするんだ。
なんなんだ、ほうっておけないなんて。そんな風に考えてしまった自分がいて。
本当に、なんなんだ。
「・・・らしくねェや」
+++++++
「着替えました。これでいーですか」
「んじゃいきやすか」
「・・・あたしまだご飯食べてな・・・いやなんでもないです」
目で黙殺された。負けた・・・・・・・あたしのフレンチトースト・・・。ってあれ?フレンチトーストなくないか?え、あれ・・・
「あ、そうそう」
うまかったぜフレンチトースト、なんていうこいつは殴ってもよいのだろうか。
フレンチトースト
(料理うまいんですねィ)
(・・・)
++++
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