ザァァァー…
「………」
雨が降っている。
さっきまではあんなに晴れていたというのに。夜になって急に降り出した。…どうやら、結野アナも天気を外してしまうようだ。一体全体どうしたのだろう。
「おーい、みかさ」
「………あ、あぁ。沖田」
「雨…だな」
「…で、どうした?」
隣をチラリと視線で覗く。
珍しきかな。ひどく真面目な面をした沖田が写る。
何を…考えているのだろうか。
…わかるはずもない、…いつになくせんちめんたる?な感じなのは雨のせいなのだろう。
「いや……聞いても、いいか?」
「何をかな、なんでも聞いてくれたまえよ、沖田君。…あ、ベルベーヌ」
「花都……ってのは、誰なんでィ」
沖田の質問は直球で。
大変直球で。それはそれは真っ直ぐ、寄り道なんてせず、私の元へ、ダイレクトにきた。
…何も。知らないから。彼は聞くんだろう。
何も知らないけど、知りたいから。
ベルベーヌをひょいと抱き上げ、口を開く。
珍しく、少しシリアル……シリアスに、語ってやろうじゃないか。
「沖田って、人いっぱい斬ってきたよな。俺もだけどさ。……ところで、友達とか斬ったことは?」
「……は?」
「あ、友達がいねえか」
「てめェ…斬るぞ」
「…あ、はは…冗談」
沖田の目が軽くガチだったので、慌てて弁解しておく。じ、事実じゃないか…。
「どういう意味でさァ?」
「…え、友達いねえって話?」
「んなに仕置きされてーのか」
「…目ェ笑ってねぇぞ…。いや、あんのかなーってさ」
はー、と呆れ返ったように沖田が溜息をつく。腕の中のベルベーヌが暴れたので下へ降ろすと沖田の足元へちょっかいをかけにいく。
「…みかさは、あんのか」
「…うん、ある」
「………それが、」
「そう、花都」
+×+×
「みかさちゃん、今日はどうして遊ぼうか!」
「んー、どうしよっか?木登り…は花都できないしなー」
きゃいきゃい。無邪気に飛んで跳ねて、笑って。
幸せに、過ごしてた頃の事だった。
「っきゃあ!?」
「っ!?か、花都!?ちょっとなんだよお前ら!」
ガラの悪い、男どもに囲まれ、その中の1人の男がまるで人質を取るかのように花都を持ち上げた。
ちらほら天人も居るようだ。
そしてその男は、テレビによく出るような、悪役のようににぃ、と口角をあげて、俺に告げる。
「大人しく、騒がずにいればてめーに用はねえ」
「んなこと…できるとでも思ってんのかよ…!花都を離せよ!」
「おぉ、威勢がいいな…。でもお前みたいなのに、何が出来る」
「さて…こんなことしか出来ねえよ」
シャキン
男の腰にあった刀をくすね取り、抜いて、構える。油断されていたからできたことだ。
…相手の数は多い。…だけど、どいつも甘く見てるんだろう。隙だらけだ。
男が何かを言おうとしたところを踏み込んで、…斬りつける。
ドサリと男が倒れた。もちろん、気絶しているだけだけれど、十分だろう。
「なっ…こいつ、やりやがる!」
「花都を、離して!離せよ!」
「ざぁんねんだったなぁ、こいつはちゃんとした契約の元、俺らが貰うんだよ!てめーにはどうしようもねえんだよ」
「……けい、やく…?」
契約って、なんのことだよ、そう口を開こうとして、開けなかった。
相手が一斉にかかってくる、構えないと。刀、振らないと。殺されちゃう。
無我夢中で振った、よく、わからなかった。
目の前には男がたくさん倒れていて、気がついたら天人はいなくて。
「……は?花都…?…」
「……う…」
「なん……で?…斬った?俺が…?」
だって、後ろに、居たじゃないか。それを、俺が斬った?
どうして、花都は倒れているのだろうか。
……斬って、しまった。
「……幸い、花都は一命を取り留めた。でも意識は戻らなくて。意識が戻ったのは、私がこっちへきてすぐだって、風の噂で聞いた」
それでも、直ぐに会いに行かなかったのは、怖かったからだ。
紛れもなく、俺は斬った。花都を。大切な、友人を。
「こっちに来たのも、真選組に入ったのも、所詮、強くなれば許してもらえるんじゃ、とかいうわけのわからない妄想」
「……でも花都は、ここに来た」
「………」
「怖がることなんざ何もねェだろーが」
そっと外にでて、雨に打たれる。
…話を、したい。花都と。
全てを話して、思った。怒ってくれていい、なんでもいいから、真っ正面から向き合いたい。そんな風に思った。
「……さんきゅな、沖田」
「おう」
「明日サボっていい?」
「サボるなら自室で堂々とサボりなせェ。土方さんにわかるように」
また茶屋に行って給与下げられてちゃわけねェや。
……要約するとこうなのだろう、全く不器用な優しさ(?)だ。
………だけどその前に部屋の掃除をしておこう。
過去編とか言うけどもうよくわかんなくなるよね
(…あ)
(なんでィ)
(連絡取れない)
(アホ)
+×+×
ぐだぐだヽ(*^ω^*)ノ←