真っ暗闇




「…ってて…。トリップってさー、もう少しこう!誰かが受け止めてくれるとか!……よく考えたらあるはずないですよねー」

そういう夢小説あったよねってか、昔自分が書いてましたね。落ちキャラに受け止めてもらうの。
よーく考えたら時空の彼方からものすごいスピードで来たら受け止められるわけないよね。ん?いや普通にロースピードの場合もあるのか?……ま、いいや。

「ここは、どこだろう」

顔を上げて辺りを見回すがどうにもこうにも真っ暗闇。とりあえず立ち上がり、手探りで壁を探し当てもたれ掛かる。頭を下げて足元を見る。

「そもそも、どこなんだろう。日本?イタリア?」
「おやおや。誰だい?」
「…!わ、わたし…は…」

カチリ、という操作音が聞こえて、部屋の電気が付く。
そして答えようとして、はた、と気付く。誰だと聞いたのはイタリア語だ。それに対して私は思いっきり日本語。どうしよう、イタリア語は聞くことは出来ても、喋ることはできない。
ここはイタリアなのだろう。いきなりここに日本人が現れたら怪しいに決まっている。
…ツゥっと冷や汗が流れる気がした。

「ジャッポネーゼだったのか。……もしかして、君が紫亜が言っていた子かな?」
「…紫亜が?」
「そう。ずっと見せたかった子をお送りしました、ってね」

どうやら、本当に君の事のようだね。優しい日本語の、口調。
そうして私は自分がずっと下を向いていた事に気づいて、頭を上げた。

「………ノーノ」
「その通り。初めまして、ボンゴレの9代目だよ。…君の名前は?」
「茶紗…倉木茶紗です。あ、あの、ノーノ…。私を、ボンゴレに入れていただけませんか」
「……茶紗ちゃん。元々そのつもりではあったけれど。だけど、本当に、いいのかい?もう元に、戻れないことに、なるんだよ」

眉をすっかり下げて私に諭すノーノ。
私は後ろを振り向こうとして、そこに壁しかない事を思い出した。まるで、もう戻る事はできないと、告げられているようだ。

…ううん、戻る必要がどこにあろうか。

「もちろん、本当に、いいんです」




真っ暗闇。
(それから待っていたのは)
(…………残忍な日々でした)


(……修行という名の)

prev next

 

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -