それでいい。




そういえば。
考えた事があるだろうか。

違う世界へ行けるなんて、夢みたいな話。実際夢なのだが。というか、夢のはずだったのだが。

(…あるぇ?)

まだ覚めないのだろうか、この変な空間の、夢は。
上下左右がわからなくなるような、ヘンテコな夢は。

「あら、こんばんは。迷い込んだのかしら?………違うわね、そうか。あなた、茶紗。茶紗ね」
「…人に名前を…ってよく聞きません?ちょっと違うけど」
「…あぁ!そうね、私は紫亜。ここの番人。変でしょう。ここは」
「……紫亜」
「あら、いきなり呼び捨てにするのね」
「え、…あ」
「冗談よ、好きに呼びなさい」

紫亜と名乗った落ち着いた印象の女性。あまり他人のような気がしないのは、この人の特性なのだろうか。茶髪の、ロングストレートを後ろで束ねて、今にもお茶セットでも出してきそうな雰囲気。

「さて、貴方…」

考えたことがあるだろうか。
違う世界へ、というか二次元に行けるだなんて夢みたいな話。

「世界を、なーんて言わないけど、誰かを救ってみない?家庭教師ヒットマンREBORN!!、その世界で!」

私は、ある。
仮にも二次元大好き夢見る女の子だ。

「…いき、たい」

紫亜はこくりと、頷き、笑った。
その笑顔を、何処かの記憶で見たことがあるような気がした。


それでいい。
(それは運命だけれど)
(しかし運命なんて選択肢の数ほどあるもの)
(あなたの好きに生きなさい)

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