束縛
2013/04/21 00:26
※「どこでもいっしょ」の始まる前の話
創痍がよく屋敷の女中と話しているのを見かけるようになった。
久秀が一人で行動しているとき、その光景がちらちらと目に入る。
最初は珍しい、と感じる程度だった。しかし、いつも久秀を好きだと言って彼の元を離れない犬のような男が、自分以外の人間と親しげに話していることはあまり良い気分はしなかった。
「親しい者ができて良かったではないかね」
ある晩、二人でいるときに創痍に言った。彼はその言葉を聞くと、少しだけ口角を上にあげて笑った。
「うん、」
肯定されたのが久秀は余計腹立たしかったが、その感情を表に出すことはなかった。
創痍は久秀の近くによると、こう言う。
「首輪、つけて」
その彼の青い瞳は、暗く。恍惚とした感情の色をわずかながらに含んでいた。
「俺が久秀だけのもの、っていうしるしがほしい」
部屋が薄暗いせいで、彼の表情がよくわからなかった。
久秀は背筋がぞわりとするものを感じる。
それは久秀に異常に執着する彼に対する恐怖と、自分が彼の全てを支配しているという事実への満足感だった。
おわり
久秀さんを嫉妬させたい創痍
嫉妬はするけど悟られたくない久秀さん
創痍がこじらせた話を書きたかったそれだけです
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