いかがわしい本がミスタに見つかる 「それじゃ、行ってくるわね」 そう言ってユウリが仕事に出掛けて数時間。ユウリの部屋でゴロゴロしていたミスタは、盛大にあくびをして寝返りをうった。 ユウリは、今日の出勤は半日だと言っていた。きっとそろそろ帰ってくるころだ。彼女が帰ってくる前に、散らかした部屋を片付けなくては。 そう思って辺りを見回すと、不意にガラステーブルの下の雑誌に目が止まる。 何冊かまとめて積み上げられているそれらは、ネアポリスの情報誌や、ユウリの購読している女性向けファッション雑誌のバックナンバーであった。 ユウリと出掛けたときのために、デートスポットや新しくオープンしたリストランテなど調べてみるのも悪くない。そう思って情報誌を抜き取った。 「…お?」 情報誌とファッション雑誌との間に、もう一冊挟まっていたことに気づく。それは、表紙からしてほかの雑誌とは毛色が違っていた。 人気のセクシー系美女モデルが大胆にも上半身裸で背中を向けているその表紙。一見ファッション誌にも見えるモダンなロゴとデザインだが、【女性100人に聞いた! SEX特集】の文字にミスタは釘付けとなった。 ―――うお、マジか。ユウリもこういうの興味あんのか。 流れるように雑誌を手に取り、ページをめくった。女性向けということもあって、可愛らしいイラストとともに読者から送られたさまざまな経験談が載っている。 また、初体験の年齢、経験人数などが円グラフになっていた。まだ若いミスタにとって、女性側の経験談というのは大変に興味深く、特に【カレとの1番良かったセックス】【1番興奮したシチュエーション】などの項目は今後の参考にと熟読した。 ―――しかし、女子も意外とスケベなんだな! 今度ユウリに色々やってみよう…と口元を緩ませるミスタだったが、次のページをめくると目を見開いてヒュッと息を飲んだ。 【もうウンザリなカレのプレイ】 【1番サイテーだったセックス】 【カレに言えない秘密】 前のページまでは恋人とのプラス面でのエピソードばかりだったが、今度はその逆だ。 あまりにも赤裸々な暴露エピソードに、ミスタは他人事とはいえ、我が身に置き換えて身震いした。中でもミスタを青ざめさせたのは【今までにイッた演技をしたことがある】というグラフであった。おまけに【100%バレない!イク演技】などというコラムまで載っている。 「ま…マジで?」 イク演技をしたことがある―――女性100人に調査したというその円グラフはなんと60%以上が『ある』という回答を記していた。なんということだ、半数以上ではないか。 ミスタはユウリとの情事を思い返していた。彼女は感じやすく、1度のセックスで何度も達する。ミスタはその度に興奮してますます欲情したものだが、あれは本当だったのだろうか。演技でないと信じたいが、言い切る自信は、今はない。 悶々とするミスタだが、ガチャ、とひらかれたドアの音で意識を引き戻された。 「ただいま。ミスタ、お腹空いたでしょう」 「お、おおお、おう」 「なにキョドってるの? …あ、その本」 ユウリは荷物を床に置くと、ミスタの隣に腰を下ろした。自分の買ったいかがわしい本を読まれていたのが気恥ずかしいのか、「ちょっとぉ…」と言いながら雑誌をそっと奪い取る。 「内容、結構エグいよね」 「なんで買ったんだよ」 その問いに、ユウリはSNSでバズってたから気になって、と答えた。ゴハン買ってきたから食べようよ、と続けるが、ミスタの脳内は昼食どころではなかった。 イク演技、ウンザリなカレのプレイ、実はマンネリ気味―――ミスタの脳裏に鮮明に焼き付けられた文字列がぐるぐると駆け巡る。 「なあ…」 「ん? …んむっ!」 思い立ったときにはもう身体が動いていた。キスをしながら、ゆっくりと床へ押し倒す。もともと深く考えたりうだうだ悩んだりするのは彼の性ではない。悩む暇があったら、ユウリの身体に聞いた方がずっと早い。 「ちょっと…ん、ミスタ…!」 「口開けろって」 うすくひらかれた唇に舌をねじ込み、ユウリの舌を搦めとる。突然のことに一瞬動揺を見せたユウリだったが、恋人のキスと愛撫に緊張を解き、素直に身を委ねた。 ミスタはハアハアと息を荒くしてユウリのブラウスを脱がし、フロントホックのブラジャーも手早く外した。以前はフロントホックに手こずっていたが、ユウリとのセックスを重ねるうちに慣れていった。 「ん…」 相変わらずオッパイでけぇ〜、と興奮しながらその乳房を揉みしだく。けれど、いつものようにすぐに乳首に吸いつくようなことはしない。乳輪をくるくると舌でなぞったり、硬くなりはじめた乳首に息を吹きかけてみたりと、わざとダイレクトな刺激を避ける。 「はぁっ、ミスタ、それ、くすぐったい…」 「くすぐったいだけかぁ?」 「あん、意地悪…あっ」 触れるか触れないか、ギリギリ指をかすめただけでユウリは喘ぐ。直接的な愛撫はまだだというのに、ユウリの乳首は勃起してひくひくと震えていた。 あースゲェかわいい、やっぱユウリマジ好き。 我慢できずに乳首にキスをして、飴玉のように舌で転がした。 「あぁぁん! それ良いぃ、良いのぉ! あぁっ」 「メチャクチャ感じてんなお前!」 「んぅぅ、気持ちいぃ」 乳首だけでここまで乱れるユウリに、ミスタ自身も興奮した。 先ほどの雑誌に載っていた『乳首だけでイッちゃった』という読者からのエピソードを思い出し、より興奮したミスタは、それはもうめちゃくちゃに乳首を舐めた。留守になっていたもう片方の乳首は指で優しく捏ねて刺激する。 「やぁぁんダメ、だめぇぇ!」 「嫌なのかァ?」 「んんぅ、そぉじゃなくてぇ…!」 ―――気持ちいいの。イキそうだから、やめないで。 熱っぽく耳元で囁かれ、ミスタはカッと目を見開いた。 「は!? エッロ!!」 「あぁん! ミスタぁ!」 彼女の言葉どおり再びべろべろと激しく乳首をしゃぶる。唾液で濡れた舌と唇で、硬くなったそこを舐め続けた。顔は見えないけれど、腰がうねっているのがわかる。 あぁマジこいつエロくて最高だ…夢中でしゃぶりついてると、ユウリの声がいっそう甲高くなり、 「あぁぁん! イク、もぉイッちゃうぅ!」 泣くような声を上げてユウリは達した。腰が跳ね、ミスタの頭をぎゅっと抱え込む。脱力し、涙の滲んだ目元にミスタはキスをした。 「ち、ちくびだけでイッちゃうなんてぇ…」 うううと恥ずかしそうに言うユウリのスカートを、ミスタは「あ」と、ふと思い立ったように脱がし、ショーツも剥ぎ取ってまじまじとそこを見つめた。 「えっ!? ちょっとなに、ミスタ」 「んー?」 愛撫ではなく、観察、といったふうにじっと脚の間を直視され、ユウリはわけがわからず赤面した。暴れて抵抗しようにも、達したばかりであまり力が入らない。 「いやほんとにイッたのかなって思ってよ。女はイッたあと、アソコがヒクヒクするっていうからよォ」 「ちょっとなに言ってるのよ!」 サイテーと言わんばかりに身体を捩るが、 「やっぱ見るだけじゃあ良くわかんねぇ。さわればわかるかな」 「あっ!」 くちゅ、と割れ目を指でなぞられ、ユウリの抵抗はそこで途切れた。 「うわスゲ、ツルッと指入った」正直にそんなことを言われ、ユウリはかぁっと頬を染めた。一度達したそこはすっかり柔らかくなっており、まるで漏らしたように濡れている。 「あっあっ! はぁん、だめ、だめぇ、イッたばっかりで、いま、ぁっ、すごい、ダメぇぇ…」 「ダメじゃあねぇだろ? ん?」 きっとまた『やめないで』の『ダメ』だろうと調子づいたミスタは、指をさらに一本増やし、ドロドロにほぐれきったそこへ出し入れを繰り返した。 「すっげー、びっしょびしょ」 「うぅぅん、あぅん、いや、だめぇ、やめて、ミスタぁ」 ぐちゅぐちゅと素早く出し入れするたびに、ユウリの膣はあたたかい水を溢れさせる。そういや女はクリトリスが1番イキやすいんだっけ、と雑誌のコラムを思い出し、ミスタはユウリの陰核をもう片方の手で探った。 「あっ…!」クリトリスを指で押さえつけ、小刻みに揺らす。 「あぁっ、あぁん! そこぉぉ、いちばんだめぇ…!」 「気持ちイイんだろォ? もうイクか?」 「やだっ、あぁ、やぁぁん、だめ、イク、あぁん、なんか出る、出ちゃううぅぅ!」 ぷしっ。「お!?」 ユウリの膣からピュッピュッと水が飛び、ミスタは間の抜けた声を上げた。ユウリはがくがくと足腰を震わせて喘ぐ。 「あ…いや…いやぁ…」 「なんだコレ、…え、イッた? これ潮か!?」 混乱する頭の中で、潮吹き、という言葉を探り当てた。ミスタの混乱のモヤはすぐに晴れ、心の中にパアアと光がさしていく。一言でいえば、感動していた。 「すげえ! ユウリ、そんなに感じてたのかよ!」 「なに言ってんのよぉぉ…どうすんのよこれぇ…」 珍しく泣き言をもらすユウリをよしよしと抱きしめながら、ミスタは「いいっていいって」と上機嫌だ。 「…ここ私の家なんですけど。自分ちのベッドルームに、…お、おしっこ漏らしちゃうなんてぇ…」 情けない、恥ずかしい、消えたい、もうやだ。 「お、俺が綺麗に掃除してやるって!!」 「なによぉ…。やめてって言ったのに、ミスタのバカ。どうせあの雑誌に影響されたんでしょ」 「うっ」 図星を突かれ、硬直する。 そんなミスタの胸に頬をすり寄せ、ユウリは「…でもすっごい気持ちよかった」と零した。 「あーやべぇ、今のすげぇギュンギュンきたわ」ミスタはたまらず彼女の顎を指で上げて、唇を重ねた。 「…ん、ミスタ…。続き、早くしよ」 「待て待て、いま床拭くから」 「あとでいい…ミスタ、早く欲しい」 「マジか」 ミスタは思わず感謝した。神さま、ユウリをスケべに産んでくれてありがとう。 了 2019.03.23 お題「持っていたエロ本がミスタに見つかって色々いじられる夢主」 |