チャイルドプレイ
 カーテンの隙間から漏れる日差しが、ベッドで眠るミスタの頬を照らしている。もうじき正午を迎える太陽の光は攻撃的で、頬に当たる暖かさにミスタは目を覚ました。

 半分寝ぼけたまま、隣にあるはずの熱を探すが、ベッドにいるのはミスタだけだった。昨晩、散々に身体を重ねて共に眠りに落ちたはずだったが、ユウリの姿はそこにはない。

 ちぇ、と寝返りをうつと同時に、
「あら。起きたのね」
 おはよう、とユウリが寝室のドアから現れた。無防備にも彼女が薄手のブラウス1枚という格好だったので、ミスタはおお、と目を見開く。手には、湯気の立つマグカップがふたつ。それをサイドテーブルに置くと、ユウリはベッドに腰かけ、ミスタの髪を優しく撫でた。

 その細い手首を掴むと、もう片方の手で、彼女の首根を引き寄せる。

「…ん」

 軽く口付けるつもりだったが、つい大きく口をひらき、舌を絡め、思い切り口内を荒らしてしまう。ユウリはいつでも優しく、ミスタの欲を受け止めてくれる。
 吸うように舌を舐め、彼女の薄い下唇をもてあそぶ。
「んぅ…」
 至近距離で見つめ合ったまま、ちゅ、とリップ音を立てて唇を離す。

「カフェオレ淹れたのよ。飲む?」
「いやいやいや」

 この流れでそりゃあねーだろ!?

「俺もう朝勃ちからのコレでやべぇんだけど! エッチしようぜ。なっ」
「もう…」

 呆れたふうに微笑みながらも、ユウリはこの年下の恋人の、素直な欲求を可愛いと思う。昨晩、腰が砕けるほど求められ、抱かれ続けた記憶が蘇り、ユウリの下腹部がジンと疼いた。

「なァ、舐めて」

 ミスタは下着一枚だった。グレーのボクサーパンツをぽい、と脱ぎ捨て、ユウリの眼前にその勃ち上がった性器を恥ずかしげもなく晒す。
「ユウリ、なぁ、早く」
「はいはい」
 ユウリがミスタの脚の間に、わざとゆっくり移動してくる。
 ミスタは堪えきれず、シュッシュッと自らペニスを扱いた。

「はぁ…」
「すっごい、先っぽぬるぬる」

 先端に滲んだ涙を人差し指に取り、見せつけるように舐め取る。ちら、と覗く赤い舌に、ミスタの視線は釘付けだ。早くその唇で咥えて、その舌で舐めて欲しい。

「そんな物欲しそうな顔しないの」
「だってよぉ……アッ」

 ペニスを握るミスタの手を制し、ユウリはぱくりとそれを咥えた。「うッ…
ぅん…」滑らかな先端部に舌を這わせると、ミスタの口から悩ましげな声が漏れる。
 根元までは咥えきれないので、口内におさまらない部分は手で上下に扱く。
「あー…イイ。すげぇイイわ、それ…」
 じゅぽじゅぽと大きく音を立てて、大胆に頭を動かすと、快感からミスタの尻に力がこもる。ギリギリまで深く咥え込めば、ミスタの濃い隠毛が鼻先をくすぐった。

「気持ちいい?」

 まるで唇にするように、ちゅ、ちゅ、と先端に口付けながら、ユウリが言う。
「良いぜぇ…。眺めも最高だしよぉ」油断しきったブラウスの隙間から、豊満な胸の谷間がよく見える。ブラジャーは着けておらず、ツンとした乳首の桃色がうっすらと透けていた。

(あのオッパイ。たまんねぇな〜ッ!)

 たっぷりと下心を含んだ視線に気づいたのか、ペニスを咥えたままユウリがこちらを見上げる。
「ふふ…」
 体を起こすと、悪戯っぽく笑って、ミスタの厚ぼったい唇にキスをした。
 唇が離れても、すぐにキスできる距離で見つめ合い、
「これが見たいんでしょう?」ユウリはゆっくりと、ブラウスのボタンに指を掛けた。「ミスタはおっぱい大好きだもんね?」

 ごくり。
 大袈裟な音を立てて、ミスタの喉が生唾を飲み込んだ。
 先ほどまで自分のペニスを扱いていた細い指先が、ボタンをひとつずつ外してゆく。何度も見た光景なのだが、ミスタはひどく興奮して、ボタンが全て外れるころには、期待でペニスの先からだらだらとカウパーを零していた。

「ユウリ〜っ!」
「きゃ!」

 ルパン三世の如く飛び掛かり、ミスタは露わになったその形のよい胸を夢中で揉みしだいた。
「やわらけぇ〜」
 フワフワのそれは手のひらで面白いくらいに形を変える。指の隙間から覗く乳首は既に硬くしこり、悩ましげにミスタを誘った。

「ん〜」
「あっ…!」

 口をすぼめてそこへ吸い付くと、ユウリは泣くような声を上げた。

「あっ、あぁん…」
「やらし〜声!」

 小粒な乳首をチュパチュパと吸い、舌で転がし、そうしている間にもミスタは自らペニスをしごく。ユウリがあんあんと素直に可愛い声を出すので、たまらなく興奮した。

「はぁん! あぁん…んふぅ…」
「ユウリ、乳首弱すぎだろォ〜?」ハァっ、と熱い息を吐きかける。「すげぇ可愛いぜェ」
「あぁぁん、ミスタぁ…」

 普段は優しく、上品な彼女がベッドの上でこうも乱れる、そのギャップがたまらない。

「しかも紐パン! エッロ!」
「言わないでよぉ…」

 腰からヒップにかけてのラインをすりすりと撫で、その感触を楽しんでから、ショーツの紐をするりとほどいた。
 露わになったそこはすでに水気を帯びており、ユウリは恥ずかしそうに太ももをすり合わせた。

「あぁ〜、思いっきり舐めてぇ〜」
 でももう我慢できねぇ、入れたい。
「もう、ミスタってば…」

 思わず笑みがこぼれる。ミスタのセックスが性急なのはいつものことだ。
 それに、ユウリはミスタのことをよく知っているが、ミスタもまたユウリの身体のことはよく知っている。ユウリはこういうふうに余裕なく求められるのが好きだった。
 現に、膣はよく慣らしていなかったが、割れ目にペニスを当てがわれただけでそこはますます潤った。

「入れるぜ…」
「…ん…」

 ぐ、と腰を進めると、長い脚がミスタの身体に絡みついた。腕は首に回される。
 脚でも腕でもがっちりとホールドされ、ミスタはますます興奮し、ペニスを震わせた。

「スッゲェ、ぬるっぬる…。やべぇ」
「はぁん…! 入ってくるぅ…!」
「う…スゲェ締まるッ」

 小さな肉の穴に、すべて収まりきると、ミスタは大きく息を吐いた。一呼吸置かなければ一気に射精してしまいそうだった。
「んン…」呼吸を整え、少しずつ律動を開始する。

「あぁん…あっ、んんぅ…」
「うッ、あぁ…、あッ」

 へこへこと腰を揺するたびに、ミスタの肌に汗が伝う。こりゃー終わったら即シャワーだな、とぼんやり考えながら、ミスタは目の前の甘美な肉に酔いしれた。

「あっあっ、はぁぁん、ミスタ、あぁん」
 もっと突いて、と腰をくねらせる。
 ミスタは彼女をうつ伏せにし、四つん這いにさせると、いったん引き抜いたペニスを再度挿入した。バックの体勢ではカリ首の引っ掛かりが良いらしく、ユウリはますます甲高い喘ぎ声を上げる。

「あん、あん、これ良い、ミスタぁ、気持ち良いぃ」
「やっべぇ、…ンな、ケツ振んなって! もぉ出る、出ちまうからッ」

 欲も熱もなにもかもぶつけるように、ミスタはガツガツと腰を叩きつける。汗ばんだ華奢なくびれを掴み、夢中で腰を振った。繋がった部分から溶け出しそうなくらい気持ちいい。あぁやっぱコイツ最高だ、マジで好き、顔が見てぇな、今すげぇキスしたい。

「ユウリッ、あーもうダメ出るッ、イク! あぁッ」
「あぁぁん、ミスタ…!」

 先に達したのはユウリだった。びくびくと小刻みに痙攣する膣がもたらす快感はすさまじく、ミスタは追いかけるように射精した。

「き、もちよかったぁ…」
「俺も」

 脱力し、ぺちゃん、とベッドに突っ伏したユウリの身体を、そのまま押しつぶすように抱きしめる。
「なぁー」甘えた声を出して、振り向いたユウリにキスをした。意外にも深いそのキスを受けながら、ユウリは汗に濡れたミスタの身体を抱きしめ返す。
 すると、すっかりやわらかく萎んだペニスが、彼女の太もものあたりでぴく、と震える。思わず視線を上げると、子どものように笑う彼と目が合った。そしてそのまま、彼の唇は「もう一回」と動くのだった。




2019.03.13
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