pink pink pink!
 思えば、今朝会ったときからフーゴの様子はおかしかった。

 そわそわと落ち着きがなく、会話もどこか上の空。カフェオレを淹れて渡すと、「ありがとうございます」とボールペンでスティックシュガーをかき混ぜた。

 熱でもあるのだろうか、と額に手をのばすと、なにを勘違いしたのか、フーゴは頬を染めてキスをしてきた。そうじゃない、と思いつつも、ユウリはフーゴの拙くも強引な舌使いに酔いしれた。

「好きです、ユウリ」
 とろんとした瞳。掠れた声にゾクゾクする。
「私も好きよ。可愛いフーゴ」

 そう言ってくしゃくしゃと髪を撫でてやると、フーゴは気持ちよさそうに抱きついてくる。ユウリの胸元に鼻先を埋め、「あのねユウリ」と上目遣いに見上げる。

「あなたに教えて欲しいことがあるんです」
「教えて欲しいこと?」

 IQ150の天才児が、いったい今さら何を師事するというのか。
 首を傾げるユウリだったが、
「あの、これ」
 と目の前に差し出されたピンクローターを見て、納得する。

「これの使い方を教えてください」
「…なるほどね」

 さすがのユウリも、この展開は予想だにしなかった。
(ローターって…)
 けれど、これで朝から様子のおかしかったフーゴにも合点がいく。なるほどフーゴはずっとこのことを切り出したかったのだ。

「一応聞くけど。これ、どうしたの」
「ミスタが酔っぱらって、いかがわしい店で買ってきたんですよ。いらないって言ったんですけど、ユウリに使い方教えてもらえって」

言いながら、恥ずかしくなったのかフーゴは挙動不審ぎみに目をそらした。

「ふーん…」

 教えてもらう…ね。
 フーゴってば、使い方なんて大体見当がついてるくせに。

「…ダメですか?」

 シュンと下げられる眉。ユウリは「うっ」と言葉に詰まった。
 こちらの顔色を伺い、下手に出ている彼を見ていると、図らずもむくむくと悪戯心が芽生えてくる。「しょうがないなぁ…」と言いながらも、口元は笑っていた。

「いいよ、教えてあげる。可愛いフーゴの為だもの」
「本当ですか!」

 色めき立つフーゴだったが、そのままゆっくりとソファに押し倒され、
「…え?」
 と思ったときには既に胸元のボタンが外されていた。

「ちょっ…ユウリ!?」
「なぁに?」

 フーゴの手から奪い取ったローターのスイッチをオンにする。途端にけたたましく振動するそれは至って簡単な作りだが、振動の強弱は付けられるようになっていた。今は【弱】の段階である。

「使い方、知りたいんでしょう?」
「そ…そうは言いましたけど…!!」

 こんなはずではなかった。こんなはずでは。
 肌蹴た胸元。露出した乳首。馬乗りになったユウリを見上げた状態で、フーゴはあからさまに狼狽えた。
 デートもセックスも、ユウリには主導権を握られてばかりだ。せっかく何も知らないふりをして、玩具を使って彼女を攻められるのではと思ったのに。

「フーゴ、大人しくして。私とこういうことがしたかったんでしょう」
「そんな…あッ!!」

 振動するタマゴ型の部分を乳首に押し当てられ、フーゴはびくびくと身体を仰け反らせた。「あッ…うぁぁ…!!」ピンク色の乳首はぷっくりと腫れ、バイブ音に合わせて小刻みに震える。

「乳首だけで感じすぎ」
 もう片方の乳首は、舌で転がす。
「ンぁぁッ! はぁっ、うぅぅんッ」
「すごい声。かわいい」

 両の乳首を弄りながら、ボトムに手を侵入させ、下着の上からペニスを撫でる。「あぁっ!」すでにガチガチになったペニスが、ユウリからの刺激に歓喜する。

「ユウリ、んぁぁ、生でさわってぇ!」
「エッチなフーゴ。そうじゃあないでしょ」
「えっ」

 下着ごとボトムを脱がし、下半身を裸にする。両の太ももをぐい、と持ち上げ、ちんぐり返しの体勢にしてやると、フーゴは今までに見たことがないくらい赤面した。

「ユウリッ! あなた、何してッ」
「恥ずかしい格好よね。お尻の穴まで丸見えよ」
「な、な…」
「ねえ、これからどうなるか分かる?」

 クスクス笑いながら、未だ硬いままのペニスをつうっと指でなぞる。「あぁっ!」フーゴの口から、あられもない声が漏れる。きっとこのまま、思いきり扱いて欲しいに違いない。
 しかし、スイッチの入ったユウリが思い通りに動いてくれるはずもなく。
「あっ!?」情けない声が漏れると同時に、小さく震えるローターの先端が、かたく窄まった後穴に押し当てられていた。

「んあぁぁ、ダメ! やめてください、なんかコレ、変ッ…!!」
「ヘン? どう変なのか、教えてちょうだい」
「そんな、あっ、い…意地悪ッ…!!」

 ひっくり返った蛙のような恥ずかしい格好で、フーゴはビクビクと体を震わせた。ローターの宛てがわれた肛門から身体じゅうに快感が奔ってゆき、脚が引き攣るくらいに力がこもる。
 先ほどから限界まで勃ち上がり、グズグズと先走りの液体を溢れさせているペニスを力いっぱい擦ってやると、
「あぁぁん…!!」
 子猫のような声を上げて、フーゴはあっさりと射精した。

「はぁ、はぁ…」
「気持ちよかった?」

 よしよし、と頭を撫でられ、その心地よさにフーゴは目を閉じる。
 けれど、直後続いたユウリの言葉に、フーゴは意識を引き戻された。

「はい、じゃあこれ、舐めて」
「えっ」

 有無を言わせず、先ほどまで肛門を刺激していたローターが唇にねじ込まれる。舐めろ、とはつまりこれのことだ。

「んむっ…!?」
「よく濡らしてね。…そうそう、そんな感じ」

 困惑しつつも、ユウリに仕込まれたフーゴの身体は自然と快楽を求め、言われたとおりにその無機質なものを舌でねぶった。
「こんなものかな…」見定めるように言いながら、ユウリは先ほど出された精液をフーゴのアナルに塗り込んだ。あてがった人さし指が容易く飲み込まれ、ユウリは「あらあら」と破顔する。

「うぅ……ふぁ…」

 泣き出しそうな顔で、ユウリを見上げる。フーゴは、これから何をされるのかわかっているのだ。いや、わかってしまった、と言った方が正しいか。
 その期待に応えるべく、ユウリは彼自身の唾液に濡れたローターを、人さし指の代わりに、彼の小さな穴へ埋め込んだ。

「あっ…あぁぁんッ!!」
「すごぉい、簡単に飲み込んだ」
「ふぁぁ……ンぅ…ユウリッ…」

 身体を仰け反らせながら、フーゴはまた再び勃起したペニスに手を伸ばした。

「あっ、あっ」
「ふふ、自分でシコシコしちゃうんだ」
「あぁぁ、イイ、ユウリ、イイですっ!」

 はち切れんばかりに赤く熟れたペニスを、ゴシゴシと一心不乱に擦る。ローターのスイッチを再度入れてやると、フーゴはいよいよ涙を零して喘ぐのだった。

「あぁ! あっあっ、ユウリ、僕、もうっ…」
「もう、なぁに?」
 意地悪く微笑まれ、フーゴはたまらない気持ちになる。
「うぅぅ、ユウリ、…もう、入れたい、入れたいぃ…」

 焦ったさと快感とで、フーゴはポロポロと涙を落とし、訴える。そんな彼の姿に、ユウリは己の征服欲が満たされてゆくのを感じた。

「フーゴ、可愛い。大好き」
 ユウリはスカートを捲り上げ、ショーツを脱ぎ捨てると、緩慢な動作でフーゴの身体を跨いだ。
「あぁッ…。ユウリ…!」

 くち、と音を立てて、ペニスの先端が柔らかな女の肉を割った。

「んっ…」
「あぁぁん、ユウリッ!」

 行為の最中、フーゴはよく喘ぐ。ユウリは彼のそんなところも気に入っていた。
 
「あん…分かる…? おちんちん、全部入っちゃった」
「あっあっ、スゴい、…良いっ…」

 騎乗位の体勢で、ユウリが尻を振ると、その動きに合わせてフーゴも腰を突き上げた。そのたびにパンパンと肉のぶつかり合う音がする。フーゴの白い尻はすでにひくひくとこわばり、そう長くもたないことを知らせていた。

「あん、フーゴぉ、スゴい、奥まで届いてる」
「あぅ、気持ちイイですっ…もう、中、出ちゃうっ」
「ンっ」

 涙で顔を濡らしながら、口付けてくるフーゴ。ぺろぺろと舌を絡めながらも、お互い腰を振るのは忘れない。
「あっあっ!イクっ!イきますっ!」上擦った声とともに、フーゴの腰の動きが速くなる。射精が近いことを察し、ユウリはローターのスイッチを【強】にした。

「あっあぁぁぁぁっ! 出るぅぅ!」

 甲高い声を上げて、フーゴは中に全て吐精した。

「あぁん…コレすごぉい…!」

 ローターの振動がユウリにも伝わり、ほぼ同時に彼女も達した。

「はあっ…ユウリ…」
 脱力したフーゴのアナルから、ローターが抜け落ちる。
 ローターのスイッチを切り、ユウリはフーゴを抱き寄せた。着崩れしていない胸元に、フーゴは遠慮なく顔をすり寄せる。

「…で。ローター、どうだった?」

 満足できたかしら? と、ユウリは悪戯っぽく微笑んだ。




2019.03.03
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