03 確かに、この年頃の少年を懐柔するには、柔らかな女の肉が一番効果的だろう。 組み敷かれた先で頬を紅潮させる花京院典明を見下ろしながら、つくづくそれを実感する。 肌蹴た学生服に手を差し入れ、シャツのボタンをひとつずつ、ゆっくりと外してゆく。 「………っ」 素肌に直接触れてやると、花京院君は大きく息を吐いて、またもう一度、いやだ、と言った。 私は聞こえなかったふりをして、色彩の失われた、厚みのない唇にキスをする。唇の間に舌をすべり込ませ、渇いた口内を食んでゆく。 「ん…ぅ」 甘ったるい喘ぎ声を漏らしながら、懸命に私を拒もうとする花京院君。 見れば、色づいた頬をますます赤らめて、眼にはうっすらと涙さえ浮かべている。初心な反応に胸が高鳴った。 「こういうの、慣れてない?」 聞けば、花京院君はぎゅっと唇を噛んだ。 「そんな…こんなこと、したことない…」 そう言って顔を背け、引っ掻くようにシーツを掴む。 「初めてなのね。怖がらなくてもいいのよ」 シーツを握っていた手にそっと自分のそれを添え、まだ脱いでもいない胸元に引き寄せる。トクン、トクンという緩やかな私の鼓動を、彼は感じているだろうか。 どうしていいかわからないのか、そのまま固まってしまっている花京院君の鼻先に唇を寄せ、 「…触ってみて」 そう、囁く。 花京院君は目に涙を浮かべ、ゆるゆると首を振るけれど、その瞳には好奇と色欲の入り混じった生温かなものが確かに滲んでいて。 「私が嫌い? 私の体、魅力ない?」 と、そんなことを問う私はずるい女だと思う。 「そんな…ユウリさんは…」 優しい花京院君が、私を拒めるはずがないというのに。 「ん…」 僅かに力の籠った指先を見下ろす。均整のとれた美しい指をしている。 彼の指先はぎこちなく胸全体を揉み、時折私の顔色を窺ってはその中心部を親指の腹で撫でている。 「ね…直接、触って」 言いながら、ゆっくりとブラウスの釦を外し、前の部分を肌蹴させる。 ごく、と、喉を上下させ、花京院君は胸元に釘付けである。彼の好きそうな、清楚なミントグリーンの下着を選んだ甲斐があった。 ここまでじっと見つめられると、さすがにこちらも興奮してくる。心なしか息の荒くなった花京院君の頬に手を添えて、ねえ、と低く囁いた。 「見てもいいよ…花京院君の、好きにして」 指先は戸惑いがちにブラジャーのカップをずり下げ、そして現れた淡い色の突起に、花京院君は頬を赤くしながら吸い付いた。 「…ん」 拒絶の言葉ばかりを零していた唇が、ちゅうちゅうと水っぽい音を立てて、私の弱い部分を刺激する。 はじめてと言うわりに、愛撫の仕方はわかっているようで、時折歯を立てて甘噛みしてみたり、硬くした舌先で突いてみたりと、巧みなそれに思わず声が漏れてしまう。 「あ…ん、…っん…、そう、上手…」 「本当?」 見上げてくる花京院君の瞳は、本当にもう、いっぱいいっぱい、と言った様子で、見つめ返せば恥ずかしそうにふいっと目を背ける。 チュパチュパと遊ぶような音が聞こえてくる中で、私は、先程から既にボトムを押し上げて、くっきりと形の見えている彼の中心部に手をのばした。 「やっ」 少女のような声を上げ、花京院君は身を捩る。それはもう拒絶ではなく、ただ快感を期待しているだけの嬌声である。 つつ、と学生服の上からそこを撫でると、花京院君はまた気を紛らわすかのように激しく乳首を舌先で転がした。 「んんっ…ぅ…んふぅ…」 「気持ちいい…?おちんちん、パンパンだよ?」 張りつめたそれを布越しにシュッシュッと扱くだけで、花京院君はうっとりと目を閉じ、生娘のような声で喘ぐ。 「あ…っ、や、やめ…」 やがて乳首からも唇を離し、完全にされるがままとなる。イヤイヤと言いながらも腰が浮いていて、思わず笑ってしまいそうになる。 「や…やだっ…ユウリさん、も、やめて…!」 「どうして?気持ちよくない?」 すべすべとした布のかんじが、とても良いと思うのだけど。 そんなことを考えながら、僅かに湿気を帯びたそこを擦り続ける。きっとこの中はすごいことになっているだろう。 「やだっ…!ダメ、なんですっ、…あッ、やだ、出…ッ」 一瞬、手のひらに熱を感じた。じんわりと布地に広がってゆく染み。手のひらに、生臭くねばついたものがうっすらと滲んでくる。 「…はぁ、……っ」 「いっちゃった?」 少し撫でただけなのにね?と、出かかった意地悪な台詞を呑み込んで、汗の浮かんだ額にキスをした。 「はぁ…、はぁ、ユウリさん、もぉ…っ」 やめてください………。 そう、子どものような声で、縋る。止めるつもりなど毛頭ないというのに、つい微笑んでしまうのは少し、残酷かもしれない。 「ごめんね」 触れた唇はすっかり涙の味が染みついていた。 (3/6) |