“この部屋は10回セックスしないと出られません”

その文章を見た時、むりむりむり、と俺は首を振った。10回って…。
俺と一緒にこの部屋にいる三月さんは忙しなく辺りを見回す。何というか警戒してる。俺が警戒してないのが変なのかな。

ご丁寧にもローションとコンドームが置いてある。部屋のど真ん中に。その生々しさに見てられない。いや、普段その生々しい行為というか援交してるんだけど。

うわー、どうしよう。
その時、チッと舌打ちが鳴り響く。

「み、三月さん…どうしますか…?」

出られるならセックスするのは俺は良いけど、こんなよくわかんない場所でやるのは三月さんは嫌だと思う。誰かに見られてるかもしれないし。
三月さん次第というより三月さん任せ。

「来い」
「わっ…は、はい」

腕を引っ張られ部屋の角に連れてかれる。そのまま三月さんが上着を脱いでその上に座らされる。優しい、三月さん優しい。
どうやらセックスしてくれるらしい。でもローションもゴムも置きっ放し。顔が無表情の中に明らかに怒りが紛れてる。セックスも優しくしてくれると嬉しいんだけど、痛いの怖いし。

前を緩められ、三月さんの手が早急に入ってくる。萎えているものをイタズラに指で撫でてから、その奥に触れる。
は、早いよ三月さん。

でも慣らされてもないのに、指一本がぬるっと入ってきて、三月さんの長い指がぐぐぐ、と入ってくる。

「う、ぅあっ…」

突然の異物感に顔が歪む。
足の間に潜り込んだ三月さんの身体が、覆い被さってきて距離が近くなる。お互い吐息を感じるくらい。ズボンをずるりと下ろされる。
穴の中をぐにぐにと押し、それだけなのに身体が熱くなる。ぽかぽかして、汗が滲んで、ひ、と小さな声が漏れる。

な、なんかいつもより近い…。

「あ、ぁんっ…み、つき、さん…っ」

大きな手のひらが俺のちんこを包み込む。
穴もちんこも、どっちも攻められる。気持ちいい。

だらだらと先走りが溢れて、ぐちゅ、ぐちょ、と水音が響く。

「あ、ぁっ…お、と、…んっんっ」
「声を上げるな」
「む、り、ですっ…あ、んぅーっ!」

先走りが下まで溢れて、穴にまで落ちてくる。そのまま三月さんの上着を濡らしていく。申し訳ないんだけど、あの。
でも、我慢しようもない。もっと攻め立ててくる三月さんは、先走りで緩んだ穴に2本目を潜り込ませてきた。
更に、3本目、4本目が入ってあっと言う間に柔らかく蕩けた。

「ひ、ん…みつきさ、…あ、ぁあッ」

指が一気に抜かれ、次に来る衝撃に構える前に三月さんの大きいのが、ぐぐーっと奥まで入ってくる。

「おっき、い…から、ん」
「締め付けるな」

無理なのに。
激しく前後する三月さんのちんこに、背中が仰け反る。

三月さんの手が何度もちんこを擦り上げ、同時に奥の前立腺を押し上げられる。
目の前が一気に真っ白になる。

やばい。

「あ、あぁあっんううううーッ」

三月さんに言われたのに、声を抑えきれなくて、結局三月さんの唇に塞がれる。
びく、と身体が震えて、その身体を三月さんに壁に押し付けられる。イったのに更に奥に潜り込んでくる。

「あ、っ…や、あ、おくッ…」

痙攣する中で、三月さんの熱を感じる。1回で頭が真っ白になって、身体がぐったりするのに10回なんて。これ俺保つのかな、三月さんもきついだろうし。
角の壁に背中を押し付けて、また更にくっつく三月さんの膝の上に乗せられる。俺の自重で更に奥まで。

「や、あ、…みつき、さんっ、」

三月さんは相変わらず無表情だった。俺だけが馬鹿みたいに喘ぐだけど。その静かな目で何を考えてるんだろう、と思ったのは初めてじゃない。
俺の痴態を見てる。興奮してるのはわかる。だって熱い。三月さんのは火傷するんじゃないかってくらい熱くて、俺の中を拡げる用に大きくなる。

俺だけじゃないってホッとする。

思わず表情が緩むと、どくんと脈打つ。あ、と思った時勢いよく三月さんのが奥へと進む。

「あっあ、ぁっ!…まっ、て、…」
「力を抜け」
「む、り、ぃい…ひい、いっ」

いつもより深い位置まで。腹の方まで届いてる。
むり、と首を振っても許してくれない。ガツガツと掘られて、女の子みたいに高い声があがる。

「あ、まっ、あっ……ま、た、イくッ…」
「締め付けすぎだ…ッ」
「あ、あっあぁあッ!…んんん、んう!」

さっきより深く長い絶頂に、思わず三月さんの背中に手を伸ばして、抱きついていた。三月さんの精液が奥に吐き出される。
ぎゅう、と抱きしめると腰を掴んでいた手が離されて、同じように背中に回ってくる。服越しに体温を感じる。
気持ちい、変に、なりそう。

余韻を浸る間も無くまた奥を突きあげる。

「だめ、っあっ、もう、…うっ!」

1度熱を吐き出した三月さんのはもう硬くなって俺を抉る。何度も。頭が焼き切れそうなほどの快楽。
やめて、と首を振っても三月さんは止まらない。…そうだ、セックスしないと出られないんだった。

「ひ、んっ……また、…あっああーッ!」

でも

「とま、って…みつきさんっ、あっああぁ…ッ!」

頭が、おかしくなりそう。

「い、くっ……いくっ、いくぅう…ッ」

ほんの少しの量しか出ないでまたイってしまった。なのに、イってる間も突き上げられる。

「やだぁッ…も、むり、っ、…ひあっあぁあァ!…んぅ」

ひたすら揺さぶられて、息が止まりそうなくらいのキスをされて、何度も突き上げられて。わからないくらいイった。
俺のちんこからはもう精液が出そうにない。ただ揺さぶられて、ぴたぴたと腹の間で跳ねている。

「や、あーーーッ…も、う、出な、いぃ…ッ!」

どくどくっ、中にさっきよりも少ない量が吐き出される。その感触にも、身体がびくびくっと震える。足が思わず三月さんのコートを蹴ってた。

三月さんが一瞬息をつく。ホッとした、でもまだ部屋は開かない。まだ、頑張らなきゃダメなんだ。

「三月さん、あと…何回、ですかね」

もう身体が汗ばんで、べたべたしてる。鼻水も、涙も出た。
はあ、はあと荒い息を吐いて三月さんを見つめる。さすがの三月さんもじんわり汗をかいている。

「知るか」
「そう、ですよね…あぁっ!」

ガンガン、と勢いよく打ち付けられ三月さんに縋りながら馬鹿みたいにイった。何度も意識が飛びながら、次に目が覚めたとき三月さんの家にいた。

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