「さて、これで準備は整いました。あとはここから私の飲み物を出すだけです」

ここ、と言って大浜が示したのは遊佐のペニスだ。
大浜は絶頂を迎えたばかりの敏感な身体の、敏感なその亀頭に触れる。つるりと綺麗な先っぽは先走りでぬるぬるになっていて、すぐさま大浜の指に移り、濡らした。

「どうでしょう、この可愛らしいちんぽ。まだ挿入したことはないというこれを...いや、オナホくらいには挿れたのかな?」

ははは、と会場から笑いが漏れ、遊佐はカッと顔を赤くする。

「あ、あ!…くそっ、やめ、ッ……さわ、んなっ!」
「威勢がいいのでコレは期待できますね」
「はあっ…さきっぽ、変っだから、ぁッ!」

敏感すぎて触られると痛いような快感が全身を走り抜ける。おかしなくらい身体が震える。
びく、びくと飛び跳ねるペニスは虚しく、大浜の手を逃れることは出来ない。たらぁと顎から糸を引いて垂れる涎や、苦しさから歪んだ遊佐の顔を客人たちは見入ったように目が離せず、誰も一言も発しない。

「うーん、少し硬い。さっきので気持ちよくなったのかな」
「ぁ、っ...はぁ」
「我慢汁もこんなに出て、だらだらだよ」
「はぁっ、ぅ...」

パーティーホールには遊佐の吐き出す熱い息が響く。
ぐちゅっぐちゅぐちゅッ

「ああーッさわ、ちゃ、…だめ…ッ!」
「なぜ?気持ちいいだろう」
「ううううッ、はぁッ!あっ、んぅ...!」

びりびりとした刺激は気持ちよくも辛くもある。いや、気持ちよすぎて辛かった。
大浜の指先は震えるペニスをおもちゃのように弄び、先端をいじり倒す。敏感すぎる亀頭を親指で撫で回した。

「ふっ、ぁあ゛ッ!あひっあッあああんんんッ」
「どうでしょう、この敏感なちんぽ。幼いくせにはしたない」
「言うなぁっ」

耳を塞ぎたくなるような事実を言われ、遊佐は信じたくなかった。
しかし、実際に遊佐のペニスからは絶え間なく汁があふれ続けていた。

「も、あっ、あっん!もう、だめっ」
「だめ?何が?」

わざわざ聞いてくる大浜に、快感で蕩けていた頭は正常な判断が出来ないでいた。

「あうっ、ひ、あひっ...ち、ちんこ、ッ!あ゛ぁッ」
「そうかいそうかい、ちんぽ、ねえ」
「あ゛ッあああッ...もう、っやめッあっあんっあ゛!」
「気持ちいいかい遊佐?ちんぽが気持ちいいんだろう?」

蕩ける頭でも、遊佐は認めるのだけは嫌だった。身体は屈しても、心だけは屈したくなかった。箱の中で何度も頭が振られる。

(嫌だっ...気持ちよくなんか、ない)

むき出しの性感帯を、大浜の太くごつごつとした指で撫で回され、遊佐の目の前が一気に焼き切れた。
幼い身体が受け取るにはあまりにも大きな快感で、遊佐は熱い息を吐きながらその指の動きをしっかり感じ取っていた。

「そこ、ッだめぇ...お゛っ、おかしく、あひっ、いっ変っになるぅ――っ!」
「変じゃないんだよ?君はただ敏感で淫乱なだけなんだ」
「ち、がぅッあ、ぐりぐり、しないでッあ、あッ!」

言葉で責め立てられ、遊佐は受け入れたくなかった。けれどこの痴態は箱で視界を制御されている遊佐以外には大画面でまじまじと見られていた。
だんだんとペニスを撫でる早さは早くなっていき、どんどんと崖に追い詰められていく。

「あひっ、あ、あ゛!」

そんなはずじゃなかった。遊佐は高校生で、しかし貧乏だった。両親は悪い人から金を借りて、逃げた。アパートの立て付けの悪い扉ががんがんと蹴られ、遊佐は呆然とした頭で窓からどうにか逃げ出した。暗い夜道をとぼとぼと歩いていたら大浜に声をかけられた。ただの親切心にも見えなかったし、恐ろしいことも覚悟の上だった。

絶望の中で、遊佐の心はどんどんと傾いていった。
その様子がカメラに撮られているとは知らず。それでもぎりぎりのところで踏みとどまっていた。

「強情だな...そうだなあ、もし、気持ちいいって言ったらやめてもいいよ」
「あ゛ッ...あ、う゛ッ...ふうぅ、うっ」
「そうしたら触るのを止めて、箱からも出してあげよう」
「あ゛ーっ、あ゛!...はぁ、う、嘘だ...あっ!」
「私は優しいんだこれでも。素直に言うことを聞いてくれたらやめてあげるよ」

嘘だ。遊佐はそう思った。大浜と会ってからずっと彼に嘘をつかれていた。

「きもち、くないっ...あっあんっ、ぜ、ったい...あ゛」
「本当かな」
「そんな、わけ、あぁああああッ、ない、ひぃッ!」

大浜は優しい声をかけながらもそのペニスを責めるのを止めなかった。
嘘だ、違う、絶対に違う。遊佐は拳を握りながら自分の中で何度も唱え続けていた。

強情な遊佐に大浜はため息をついて、その穴に小指を突き立てる。

「ひっ、ぎぃッ...あ゛っあっ!」

びゅっびゅっびゅっぶびゅっ!
しかし遊佐は限界に近く、その敏感な先っぽに爪を立てられたとき藁にも縋る思いで言っていた。

「きもち、いい、はあーッ、はーッ!」
「何だって?もっと大きな声で、おちんぽ気持ちいい、それだけでいいんだよ」
「あ゛!さわんの、やめろぉッ」
「なら、早く言うんだ。辛いだろう、敏感な君はここを弄られるのは」

おかしくなる。ぼろぼろと泣きながら、気持ちいいと認めながらも必死に首を振る様子に、誰もが見入った。
だが遊佐は快感に溺れる道しかなかった。

大浜は荒い息を吐きながら、興奮して何度も先を指先でぐにっぐにっと撫でる。大浜だけでなく会場もまた興奮と熱気で包まれていく。
吹き出した先走りはまるで大浜が撫でるのを促すみたいに大量に出続ける。その責め続けられる快感に遊佐は耐えきれず、諦めるしかなかった。

「きもちいいッ!おちんぽ、あ゛ー!ぎもぢ、いいッ――からぁ!!!」
「本当に?」
「きもちいい、ぃっ!ほんとっ、だからぁっ、はぁーっあ゛っあっ、ぁあ゛ッ!」

大声がホールに響く。ついに堕落した少年に客人たちは色めき立ちながらも目を奪われた。
大浜はにやりと笑って、その手を―――止めなかった。

「やめてあげるよ...君が出すまでね」

ぶじゅっじゅぶっじゅるるっ
びちゃっびゅっびゅっ
あふれる先走りを絡ませながらその先っぽを執拗に扱いた。

「っ、ああ゛!!くそっ、ううううッ!うそ、つきぃっあひぃ、あっあ、あ、あ、!!」
「嘘だなんて、約束はまもってあげるよ」

遊佐の目の前が絶望に染まる。
やっぱり嘘だった。信じなきゃ良かった、と遊佐はぐちゃぐちゃになりながらそう思った。

ぐりゅっぐりっぐにっぐにっぐにっ

「あぁんっ!ぐりぐり、しないでぇッあひっ、はぁーっ!あ゛!」
「まあまあ...そろそろかな」
「止めっ…ああぁッ!やめ゛ーーッ!あーッあっあっ、でちゃ、なんか、あ゛!」

遊佐は得たいの知れない感覚に襲われて身体を強ばらせた。何かが性器から出そうだった。しかし射精ではない、むしろ尿に近い感じだった。ぞっと顔を青ざめさせながらも、責めの手からは逃げられない。
身体の奥から、熱が湧き上がるような感覚に恐怖を覚えた。

「待って、っ…くそっ、はぁっおいっ…あ゛あッ!」
「さあ、出しなさい」
「あっ、あ、あ゛…!だめ゛、だ、あっひ、い、ぃ、!…」

あ、あ、と繰り返していく遊佐の口からは絶え間なく唾液が溢れていく。仰け反った首は涎が垂れて、反射して光っている。悶えて快楽を堪える身体をよじるだけでも艶めかしく画面に映る。
遊佐の痴態に客人たちの目は吸い付いていた。1人、また1人と思わず立ち上がって前のめりになる客もいたほどに。

ごくり、誰かの喉が鳴る。

ぶしゅっぶしゅっびゅっびゅっびゅるる――ッ

「ひっぃ、あ゛!気持ちいいっ!はぁっあーッ、んっんぅっ、気持ちいい、からぁッ!」

ぴた、と止まった遊佐の身体は時が止まったように動かなくなった。ぐじゅりぐじゅりと弄られたペニスから勢いよくプシャッと透明な液体が飛び出したところでびくびくびくびくっと激しく痙攣した。

「あ゛―――っ!すご、あひっ...出てるぅ、―――!はぁーッ、あっ、あ、あ、あ、あ゛あ!」

汗ににじんだ前髪から覗くぼんやりとした目はどこか宙を見つめている。身体はぐったりと脱力し肌は汗に輝いて、赤くなっていた。ペニスはじんじんとしていた、時折余韻からかぴくりっと小さく揺れる。遊佐は初めての経験と受けきれない快楽にどんどんと意識が遠退いていく。
吹き出た透明な、水のような液体は待っていた大浜の空のグラスに入っていった。グラスには一口程度だったが、大浜はそれを高々と掲げると、不敵に笑う。

「お待たせしました…乾杯」

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