片手で慣れたようにローションの蓋を開けた宍戸は興奮か舌なめずりをした。その男臭さに心臓がきゅんと音を立てる。
ローションが焦らすようにゆっくり落ちていき、冷たい感触が深山のペニスに落ちる。同時にゆっくり回り始める水車の距離感を調整するように宍戸がつめていくと、不意にまだ垂れている深山のペニスをゆっくり舐め上げ始める。

「...っ、」

女性との経験もある深山は、本物さながらだと感心した。宍戸を気になり始めてからはご無沙汰だったが古い記憶がゆっくり蘇っていく。

「どんな感じ?」
「ほんもの、ぽい、感じです」
「うんうん。それがこの商品の売りだしねえ」
「ん、っ...は、い」

ふむふむ、と宍戸は相槌をして、まだ深山のぐったりしているペニスをじいっと見つめている。そうなれば身体がカッと熱くなり、ゆっくり熱が集まり始めるのを感じた。好きな人に見られれば興奮するのは当たり前だ。

水車には計10コの舌がついている。一つの舌に舐められ、その感触に震えている内には次がもうゆっくり舐め上げ始めている。絶え間ない感触は、痛みが無く柔らかく女性にも受けが良さそうだと思った。
当然男性の深山の身体にも。

「はっ...ん、ん」

つい、熱い吐息が漏れる。
ローションを付けられたので触りも悪くない。むしろ唾液みたいにべちゃべちゃと卑猥な音がして身体がぞくぞくしてしまう。こんな玩具でも宍戸が目の前にいるだけであっという間に深山は興奮してしまう。
舐められて何度も持ち上げられていたペニスも少しずつ勃起して、ゆっくり頭を擡げる。

その先っぽがローションか、先走りか分からない液体に塗れていく。

れろっれろっれろぉっ
にちゃ...にちゃっにちゅっ

「...っ、ぅん」
「声可愛い...どう?気持ちいい?」
「ん、ふぅっ......きもち、ぃい、...っす」

感想はもちろん商品に生かされる。良い意見ばかり求めているわけではない、はじめから上手くいく商品なんてそんなにない。でも深山の頭には気持ちいい、の言葉しかない。すぐ余裕がなくなっていく。
宍戸の目はこの水車と深山の嬲られているペニスと歯を食いしばっても声を漏らしてしまう深山の顔をじっと冷静に見ている。

恥じらいはもうとっくに捨てている。でも、羞恥そのものが消えることはない。

「は、あっ...んっ、ん、ん...ッ」
「本当に気持ちよさそー...このべろの部分はもう少し増やした方が良いかな、休む間もなく責められるって感じが合ってる気がするよね」
「ぁ、あッ...そう、っす、ぅ...あ、ぁっ...ぴちゃ、ぴちゃ言ってる、ぅ...ッ」
「音もやらしーよね。まあローションのせいだけじゃなくて深山のお汁のせいもあるかな−」
「あ、あ゛ッ...い、わないで...ひ、ぃ、いッ!」

先っぽの穴から絶え間なく漏れる先走りは深山が感じ入っている証だ。宍戸はそれを指でつうーっと撫でながら、すくい上げた。その感触に全身に電撃が走るように、快感が巡った。

こぼれた先走りをすくい上げながら塗り込んでいく舌。敏感な裏筋をずっと舐められると次第に高い声が止まらなくなる。
そんな深山の痴態を宍戸が余すとこ無くじいっと、長い睫毛を瞬かせて見つめている。その真面目な顔に余計に感じてばかりの自分が場違いで恥ずかしくて堪らなくなってしまう深山だった。

「くぅ、んっ...はっあっ、あっ!」
「女性も好きそうだよね、こういうの」
「そう、すね...ふ、っんん!」

頭の中が一杯な深山は肯定しか出来ない。

「よくあるやつはさあ、刷毛水車だけど、なんかチクチクしそうだからって考案してみたんだよね。なんかあの細い毛見るとどきどきしない?深山分かる?ちくっとする痛みがすきーって人はいるけど、基本は気持ちいい方が良いかなって思うじゃん」

宍戸は真剣な目でくるくると回転する水車を見つめている。毎日会議室に集まって、ホワイトボードに絵を描きながら、ここをこうしようああしようと考えていた日々が巡っているのかもしれない。が、深山はその言葉に返事をする余裕も、その日々を思い出す余裕もなかった。
がくがくと震える太ももが閉じないように、つい水車の乗っかるスツールを蹴飛ばさないように意識を保つことで精一杯だ。

「じゃあちょっと近付けて、早くしてみるね」
「は、いッ」

近づいた分、強く当たる。さっきまでは舌先がぱしっぱしっとあたる感じだったのに、よりぐにゃっと当たって触れる面積が増えた。逃げ出したくなる腰を抑えてなんとか我慢すると、今度はかちっという音とともに回転は早くなる。

びちゃっびちゃっにちゃっにちゅっ

「ふ、ああっ!」
「結構速さ出るね」
「ひぃっ!...はや、いッ」
「ね。いくつか早さの段階を作っているけど、この二段階目で結構良い感じかなーあんまり早すぎてもどうなんだろう。あくまでこの何度も撫でられているって感じが良いと思わない?」
「あ、あ゛っあ!...せんぱ、ぃ、だめ、っ...あぅ、ッ!」
「...聞いてる?」

舌の根元から先までで、金たまから亀頭までを繰り返し舐め上げられ、全身の穴からぶわっと汗が噴き出す。一気に頭が真っ白になって宍戸の言葉は右から左に流れていく。
大きくなって、身体の中を迫り上がって来る快感をどうにか逃がそうと手が無意味にシーツを叩く。

「ああっ、もうっ、んぅ...!」

ぴちゃっと舌が当たるたびにローションか先走りかわからないものが飛び跳ねて、床と宍戸のシャツと内股が濡れていく。
内股の水分を引き延ばすように宍戸がそおっと撫でると、深山の膝はがくがく震えてびくっびくっと痙攣する。

「相変わらず感度良好だね、深山。...どう?この早いの。言うまでも無く気持ちよさそうだけど」
「あんっんっ...や、さしく、はあっ、蹴られてるッ!...かんじ、です...あ、あ、ぁ、あッ!き、きっもち、いぃ、ん、あああァ!」
「なるほどね。もっと早いほうがいい?流石にそれだときついかな」

深山の返事はない。宍戸が立ち上がって深山の顔をのぞき込むと、がくがくと震えてだらしなく開いた口とよだれ。汗ばんだ腹が生き物みたいに蠢いて、鳥肌が立っているのがわかる。深山の目はぼんやり宙を見つめていて、軽くぱしっという音とともに頬を打つ。深山の目が宍戸の元に一気に戻って、赤い顔がさらに色を濃くした。

「せ、せんぱ、ぁ、ああッ!」
「早いほうが良いと思う?」
「はっ、あ、ぁ...?は、早いと、すぐッ...く、るッ」
「あー、もうイきそうかな。やっぱり早さの調整はこれをマックスにしてみようかな」

とにかくもう終わって欲しい、深山の頭はそれだけで一杯だった。
唇を噛み締めてこくこく頷くと、「イっていいよ」と宍戸が許可を出す。軽く深山のペニスの先を撫でると、限界が一気に深山を襲った。押し込められていた快感が込み上げてきて、あっという間に上り詰めて来る。

「あ、あ゛あ゛――っ、イくッ...いっちゃ、あ、ぁ、ア、ッせんぱ、せん、ぱぃ......ッ、ひぃいいいッ――!」

びくっびくびくびくッ
びゅッ、びゅるっ――!

身体を仰け反らせて嬌声が迸る。オナニーの絶頂とは全く違う種類の絶頂に目の前が真っ白になる。がくがく震えて腰が跳ね、のけぞった胸は天に差し出すように、止まった。

しかし動きが硬直したのは深山だけだった。

電池式の機械の水車がぴちゃぴちゃぴちゃっと音を立てて止まる気配を見せない。どぷっと吐き出され、ペニスに降りかかった精液も次々と舐められて白く泡立っていく。
イったばかりの身体にはあまりにも酷な刺激で、脳みそがとろけていくような感覚を味わいながらも、深山は宍戸の腕を掴む。

「ま、っ、...ああッ、とめてッあ"ぁ、――!」

イったばかりのを責め立てられるのは苦痛で仕方がない。なのに快感も生み出されて、頭の中がぐちゃぐちゃになっていく。
止まらない刺激に縋るように宍戸を見たが、静かに見つめ返されるだけで止めてくれそうな気配はない。

「だ、めッ、せん、ぱいっ!...あたま、っ、おかひく、な、る、うぅッ......やあっああ!」
「んー。もうちょっと我慢してみて」
「あっあっ...やだ、ッ、やめ、てぇッ......、あ、あ、ああッ」
「試したいことがあるんだよねえ。だからもうちょっとだけ、ね?」
「は、ああッ...は、い...ッ、んぅ!」
「ちんこばっか責められたら流石にきついのかな?速度は落としてあげるよ...そうそう、こことかどう?」
「ッ...は、ぁんっ、――!」

突然甘い声が出た。水車の速度はかなり落ちて、まだ気持ちいいが心地良いの感覚が混じって落ち着いた。だが宍戸が顔をのぞき込みながら深山の胸を撫で、固くなった乳首をシャツの上から摘まんだせいで萎みかけた快感が膨れあがる。
そこを弄られるのは初めてで、なのに甘く痺れが起きたことに深山は一瞬呆然とする。

「な、なんッ...」
「まあちんこが気持ちいいんだから乳首もつい反応しちゃうよね」
「あ、ぁ、うッ...せんぱ、ぁ、みないで、ッ」

蕩けた深山の顔を見つめる宍戸の視線に羞恥で一杯になる。

こりっこりっ
かりっ...かりかりカリッ...

「あ、ぁ、それ、ぇ...ッ」
「乳首気持ちよさそうだね。快感が分配されてるからかな、それとももう一杯一杯?」

指先で摘まみながら、もう片方は爪先でかりかりと弾かれ、痛いくらい尖っているのがシャツの上からでも丸わかり。少し身じろぐだけでシャツが擦れて、そこからもびりびりと快感が広がっていく。

(頭、おかしく、なる...)
乳首を摘ままれると、腰が合わせてゆらりと揺れ、快感を逃がすように胸を突き出していた。

「押しつけてるじゃん」
「あ、ひっ......ちが、ッ、あう!」
「そう?もっと弄ってって言ってるみたいだけど、僕の気のせいかなー」

そう言いながら宍戸は、乳首では無くその周りの乳輪を円を描くように指で撫でる。じわ、じわと快感が浮かんでいながら核心まで届かないようなもどかしさを覚えていた。堪らず宍戸を見つめると、にこっと笑われる。こんな時なのにきゅんっと心臓が跳ねたと同時に、痛いくらい乳首をつまみ上げられる。

同時に、かち、という音がしてその音がなんなのか深山は分からず、しかし自分の下半身の快感が増大したことにすぐ思い知らされる。つまみが一つあげられ、水車の責めが強くなった。というより元に戻されたというだけだが。

乳首からもペニスからもびりびり快楽が生まれ、身体を悶えさせながらもその刺激を受け入れるしか無かった。逃げを打とうとする腰を宍戸が手を置いていて、力がかかっていないのに途端に動けなくなっていた。

だが何かが込み上げて来る、そんな恐怖に身体が震え上がって深山は思わずスツールを蹴って、後退した。音がしなかったから水車は倒れず済んだ、と深山は思っていた。スツールが少し下がった分、刺激は止んでいた。思わず胸をなで下ろして、熱い息をゆっくり吐いた。

「はあっ」

刺激が止み、それでもぞわぞわした快感が下半身を痺れさせている。堪らずぽろりと涙が溢れた。
恥ずかしく、自分の身体じゃなくなってしまうような奇妙な感覚は恐ろしかった。下半身をだらしなくぐったりさせ、胸を激しく上下させる。

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