アズリア率いる帝国軍との騒動から、一夜明けた朝の食卓――。



「ベル、オレのオムレツ食べただろっ!?」
「あら、これナップのでしたの?私てっきり、食べてほしくて置いてあったのかと思いましたわ♪」
「ベル……人の食べ物とるなんて、はしたないよ……」
「やれやれ……。あ、兄さん、スープのおかわり貰えますか?」
「はいはーい、どうぞどうぞー」


食事時はいつも賑やかなのだが、今日はそれがいつにも増して賑やかだ。
と言うのも、以前は子供達は黙々と食事をしていたのだが、今日は食べ物を取り合いつつ、明るく元気に食べているからだ。


いつもの賑やかさ+子供達の元気=もの凄く賑やか★

といった具合で。



受け取ったウィルの食器にスープを注いで差し出すと、「有り難う御座います」と満面の笑みを向けてくれた。



「ふふ……まだまだあるから、遠慮しないで沢山食べろよ」
「お兄ちゃん、今日は何だか、凄く嬉しそうですね?」
「確かに。お兄様、何かいいことでもありましたの?」
「ん?さてねー……ほら、よそ見しながら食べると零しちゃうぜ?」



口々に疑問を投げかける子供達に苦笑し、意識の先を俺から食事へと向けさせる。


いいことねー。
まあ、あると言えばあるんだけど、俺には直接関係ないことでもある。


それは…。



「レックス先生、食事の後にちょっと時間ありますか?昨日教えて貰ったことで、どうしてもわからない所があって」
「あ、わかったよウィル。ご飯食べたら部屋に行くから、待ってくれよ」
「ふふ、ウィル君は勉強熱心ですね」
「アティ先生っ、わ、私だって勉強してます!」
「そうですわ!」
「贔屓したら駄目だからなっ」



……と、子供達に畳み込まれているアティとレックスなのだが、昨日船に帰ってきて以来"先生"と呼ばれるようになっていた。


傍から見れば、それはほんの些細な変化だけど。
それでも事情を知ってる身からすれば、それは大きな進展であり、子供達が二人を認めて心を開いたことに他ならない。

友人が教師として成長したわけだから――つい、頬が弛んでしまう。


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