順を追って二人から話を聞きだしたところ――ミスミに「スバルとパナシェに、外の世界について教えてやってくれ」と頼まれたのが始まりだった様子。
承諾はしたものの、その時の言葉があまり良くなかったらしい。

偶々ミスミと一緒にいて、それを聞いていたゲンジが奮起。
二人を一人前の教師にするため、今まで何かと教え込まれていたと――。



……話を聞き出していた時間の割に、纏めるとあっさり片付いた気がするが、きっと俺の気のせいだろう。うん。



「ま、カイル達には俺から話せばいいとして……子供達がどう思うか、だよな」
「もし、私達に何か不満があるんだとしたら、勝手に決めたことに怒っちゃいますよね……うん……」
「それにミスミ様の願いはもう承諾してることだし、子供達が嫌だって言ったら、どうすればいいのかな……」



確かに、今更ミスミの願いを「やっぱり駄目でした」で断るわけにはいかない。
ゲンジからも色々世話を焼いてもらったわけだし、それを無碍にしては一気に信用を失う。

そもそもこの二人は、ここでは実感がわかないのも仕方ないが、マルティーニ家に雇われている身分なのだ。
本来優先するべきは、子供達の頼みになるわけである。



「そうだねぇ……そうならないように、子供達を説得するしかねーだろうよ」
「説得、ですか?」
「説得って言っても、嘘ついて丸め込めって言ってるわけじゃねーからな?ミスミの頼みを聞き入れたのだって、お前ら自身がそうしたいと思ったからだろ?」
「うん……ゲンジさんの話を聞いたら、尚更今の俺達は、先生としての勉強をやらなきゃいけないと思ったしね」
「私達はまだ、『あの子達の先生です!』……って胸を張って言える程、先生らしいことをしてあげれてないですし」
「……今のそれ、ちゃんと伝えればアイツらだってわかってくれるさ」



俺が子供達を説得すれば、この二人以上に信頼されているようだし、まあ聞き入れてくれるだろう。
だが、それでは駄目だ。根本的な解決にはならない。



やんわりと微笑み、「頑張れよ」と言うと、二人も笑顔で頷いた。

まあ、ゲンジにみっちりと教え込まれたようだし、後は実際の経験だけか?
コイツらは昔から飲み込みが早く、何より優秀だったので、それもすぐにどうにかしてしまうだろう。


……とは言っても、やっぱり心配なものは心配だ。
明日、俺も様子を見に行こうかな。


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