――といった経緯から、現在に至っているわけである。





「へー、何だかそれっぽいじゃん?」
「ふふ。何せご老体が、付きっきりで指導をしたのじゃからな」
「ワシがこの世界の人間なら、あの若造だけに苦労はさせぬのだがな……」



やや遠い目をして、残念そうに呟くゲンジ。

確かに教師としての技能は、長年教師をしていたらしいゲンジの方が、アティ達よりも明らかに高いだろう。



「それでも、アイツらは感謝してたぜ?アンタのお陰で、先生として勉強しなきゃいけないことに気付いた、ってな」
「おお、わらわにも似たようなことを言うておったぞ。先生の先生に出会えて良かった、とな」
「先生の先生か。ふふ、そうか……」



ぎこちないながらも、子供達に一生懸命授業を行う二人を、ゲンジは満足そうに目を細めて見守っていた。

アティとレックスは、この分なら問題はなさそうだ。



あーあ、俺もなかなか心配性だねー。



「さて、後はあやつらに任せて、ワシらは引き上げるとするかい」
「そうだな」
「どうじゃ二人共、これから予定がなければ、わらわの屋敷で一服していかぬか?」
「おー、いいねえ♪」
「うむ。ならばワシは、新しい茶葉でも持って行くか。ユキ、先に奥方と屋敷に向かっていてくれ」



ミスミの提案により、鬼の御殿で茶を飲むことに。

屋敷に向かう道中ミスミに聞いたのだが、ゲンジは自分の庵の近くで茶葉を栽培していて、こうして振る舞ってくれるそうだ。
確かに、初めて鬼の御殿であった時も、そのことに言及していたな。


実際、ゲンジが持ってきた茶葉で入れたお茶の味は、市販の茶葉で入れたものに比べ、格段に香りが高く美味かった。
今回は特に良く出来たらしく、淹れ方が少々雑だったとしても、十分な味が出るらしい。


ふふっ、少し茶葉を分けてもらったし、暫くは船でも美味いお茶が飲めるな♪



三人でまったりとお茶の時間を堪能し、俺は茶葉の入った袋を弄びながら、上機嫌で船へ戻る道を歩いていった。


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