「えっと……今日から皆さんの先生を務めます、アティです」
「同じく、レックスです。みんな、よろしくな?」



ニコッと微笑むアティとレックスに対し、元気に返事をするスバルとパナシェ。

マルティーニ組は、大人しく座っている。



俺は今、ミスミとゲンジと共に、子供達(ナップ・ウィル・アリーゼ・ベルフラウ・スバル・パナシェ)の前に立つアティとレックスの様子を見ている。

何故このような状況になっているかと言うと――話は昨日まで遡る。






アティとレックスは家庭教師の仕事を終え、集落を回りに行ったらしい。
俺は普段通りに家事を行い、みんなと昼食を取っていた。


普段なら、呼んでもいないのにメシが出来そうになると現れる二人だが、時間になっても帰ってこなかった。
まあアイツらのことだから、きっとどこかでご馳走になってるんだろう。

そう楽観的に考え、相変わらず賑やかに過ぎた昼食の後片付けを行った。
それからは暇そうだった子供達と一緒に洗濯物を取り込んだり、楽しくお茶の時間を過ごしたりしてすごしたわけだが。




――夕飯時になっても、二人は一向に姿を見せなかった。


あれか、俺の飯は食えねーってこと?いいよ、もう作ってやんねーからな!


そう考えていると隣に座っていたカイルが固まったり、ソノラが青くなったりしていたような気もしたが……直後によぎった考えのせいで、そんなことは気にもならなかった。

――まさか、二人の身に何かあった?



「「ユキ〜!!!!」」



……人が心配してやったと思ったらこれですよ。

俺の名前を叫びつつ、こちらにもの凄い速さで走ってくる二人を見て、俺は大きく溜め息を吐いた。



「あのなぁ、遅くな「「ちょっとユキ借り(ます/るよ)!!」」」



説教の一つでも垂れてやろうかと思ったところ、二人に拉致された。

拉致された後、そのまま部屋に突入。
押し込まれるように、椅子に座らされる。



「た、た、大変なんですよユキ!」
「俺達、先生をやることになったんだ!」
「……んん?元々お前ら先生だろ?」



意味がわからず聞き返してみるが、二人はオロオロしながら「違うんです!先生なんです!」「家庭教師じゃなく、先生なんだ!」と、要領の得ない言葉を繰り返していた。

取り敢えず、集落を回ったところから順を追って説明してもらわないと、いつまでも終わりそうにない。


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