「武器ぃ?帝都の店じゃそんなもん無かった気がするけど、新しい商売でも始めたのか?」
「いつでもどこでも気軽に利用できちゃう!メイメイさんの店は、そこが売りなのよ」



答えになってないと言う以前に、会話が噛み合っていない。

まあ纏まった時間がないと酒は飲めないが、武器ならちょっとした時間に見に来ることも出来るだろう。



「お友達価格ってことは、つまり全品十割引くらいだな」
「そうそう……って、そんなことしたらメイメイさん破産しちゃうでしょ!初めてのお買い物の時は、消費税分値引いてあげるわね」
「マジかよ、この島消費税なんてあんの?」
「冗談!にゃははは」
「へー」
「あらま〜、興味なさそうね」
「品揃えには興味あるけど、お前の冗談には興味ないなー」
「ううぅ、そんなに冷たくされると、メイメイさん寂しくて死んじゃう」



メイメイは悲しそうに涙を流すーー演技をしてみせるが、俺がそれを冷めた目で見つめていると、不貞腐れて再び酒をあおり始めた。

面白いっちゃ面白いんだけど、正直、凄い面倒臭い……。


このまま脱線しまくりの話を続けていると、日が暮れても終わりそうにないので、メイメイの頭をポンポンと軽く叩く。



「まー、また時間のある時にゆっくり見せてもらうぜ?今日は色々と有り難うよ」
「こっちこそ、付き合ってもらってありがと。またのお越しを、お待ちしてま〜す。にゃははは♪」




上機嫌なメイメイの笑い声に見送られ、もう一度礼を言ってから、俺は店を出た。





飲んでもいないのに、自分の体から妙に酒の匂いがする。
どんだけ酒くせーんだよ、あの店は。

そう思いながら船に戻ると、カイル達が船の前で集まり、何やら相談しているようだった。



「どうかしたのか、みんな?」
「ん?おお、ユキ。船の損傷部分が結構多くてな、どこから直すか、話し合ってたんだよ」
「おや?その手にしている物は何ですか?」



俺が抱えている荷物と、さっき出会ったメイメイについてを説明すると、みんなは興味津々といった様子で話に聞き入っていた。



「ふ〜ん……ユキの知り合いって、つくづく変わり者が多いわねぇ?まっ、この島に住む人達にも言えることだけど」
「あはっ。お前らも、その変わり者の知り合いの中に入ってるんだからな、スカーレル?」
「それにしても、聞いていないにも関わらず、職業を言い当ててしまうとは……その方は、何か特別な力の持ち主なのかもしれませんね」
「本人は"凄腕の占い師"だからと言い張ってるけどねぇ」



アイツが何か不思議な力を持ってるにしろ、本当に凄腕の占い師だったにしろ。

確実に言えることは、パッと見では酔っ払い以外の何者でもないということだな。



「武器も置いてるんだよね?ね、銃はあった?銃!」
「さあ?見てねーから知らねーけど、何でも売ってそうな奴だからねぇ」
「ってことは、あるかもしれないってことだよね!?さあ兄貴、そのお店に行くわよっ!」
「俺もかよ!?」
「さあさあ、出発しゅっぱ〜つ♪」



銃があるかもしれないという期待から、それまで以上に元気になるソノラ。
爆破癖のあるソノラは、俺の料理と同じくらい銃が好きという、謎の文句を公言する程の銃愛好者。

その腕前は確かなのだが、銃を持たせると、はしゃぎ過ぎて危ない。主に周りが。


ソノラはカイルが何か言う前にその腕を引き、メイメイの店に全力で走っていった。



まあ、カイルもソノラには弱いしな……って言うか、メイメイに「またそのうち来る」的なこと言ったのに早速店に行かれると、次に俺はどんな顔をして奴に会えば。

くそぅ、ユキさんちょっと格好悪い……。


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