護人達曰く、農作物を盗むだけらしいが……何もせず調子に乗らせれば、住人に被害が及ぶ危険性だってある。
放ったらかしに出来る問題じゃない。


しかしまた、何故そのような行動をする必要があるのだろうか?

島の住人と直接関わりたくないのなら、存在を知られないようにするなり、魚を捕るなりすれば良さそうなものを。



「押しが弱いにも程がありますわっ!?」
「安請け合いなんて、後でどうなることやら……」



非難の籠もった視線でアティとレックスを睨み、声を荒げるベルフラウと、静かに言い放つウィル。

アリーゼは悲しそうに俯き、ナップは面白くなさそうに腕組みしていた。



「まあまあ、気持ちはわかるけど、島の住人が困ってるんだ。その一員として受け入れられた俺達が協力するのは、当然のことだろ?」



俺の言葉に、四人は何か言いたげな顔をしていたが、言葉が見つからなかったのか、黙って俯いてしまった。

俺もその場に立ち会っていたものの、依頼を受ける事に意義を唱えなかった。
俺にも責任があるので、弁解を口にする。



「ごめんな、みんな……」
「勝手に決めちゃったことは、私達も反省してます」
「気にすんなよ、先生。それに最初から討伐しに行く、ってわけでもねえんだろ?」
「うん。護人達も、出来る限り話し合いで解決するつもりだって言ってたし」
「では、そこに希望を繋ぐしかないですね」
「そうですね……」



ソノラとスカーレルも、この状況では仕方がないと判断したらしく、二人の決断を非難する者は誰もいなかった。



「それはそれとしてさ……集落の様子、もっと詳しく教えてよ?」



話が一段落したと思ったら、突如ソノラが、目を輝かせて詰め寄ってきた。



「んだよソノラ、だったらお前も一緒に来れば良かったじゃねーかよ。あんなに誘ってあげたのになー」
「おいおいユキ、ケチケチしないで教えてくれよ」
「カイルまで……」
「まあ、いいじゃないですか、ユキ、レックス。どこから話せばいいでしょうかね?」
「んー……まあ、回った順にいくか」
「じゃあ、ラトリクスについてからだね」



盛り上がっている俺達が気に入らなかったのか……子供達は、何も言わずに部屋を出ていってしまった。


他に何か、理由があるのか?

俺達が集落の見学に行く前に垣間見た、あの表情が脳裏をよぎった。


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