俺達には話せないような、何かが――アイツらを不安にさせているのだろう。



「ごめん、ちょっと急用を思い出した!」
「私も!後はユキに聞いて下さいっ!!」



幸いにも、アティとレックスは気付いたようだ。

口ではああ言ったものの、急用なんてあるわけない。恐らく、子供達の後を追っていったのだろう。



つーか、何気に俺を犠牲にしやがったなアティ。

まあ、今回ばかりは大目に見るけど。


これはきっと、俺が聞き出すべきじゃない。
あの二人がやらないとーーアイツらの家庭教師であるあの二人がやらないと、根本的な解決にはならないのだろう。



スカーレルと視線を合わせ、軽く頷く。



相変わらずの察しの良さには恐れ入る。
どうやら俺の伝えたいことは、しっかり伝わったらしい。

スカーレルは誰にも気付かれないようにウインクし、やんわりと微笑んだ。



「アタシも、今日はここいらでお暇させてもらうわ。また明日、ゆっくり聞かせてちょうだいな」
「わかった……お休み、スカーレル」
「んっ。お休み、ユキ」



やれやれ……スカーレルには借りが出来ちまったな。

部屋を後にするスカーレルの後ろ姿を見つつ、内心苦笑する。


勘の鋭いスカーレルなら、もし二人が説得に失敗した場合でも、何かしら助言をしておいてくれるだろう。



アティ、レックス……子供達の心を開かせるのは、お前達の役目だ。

教師としてじゃなく、最初にあの四人を守ろうとした者である、お前達にしか――いや、お前達だからこそ出来ることなんだ。


そのための力くらいになら、俺でもなってやれるだろうさ。


だから頑張れよ、二人共。






……俺もコイツらの相手、夜遅くまでになるだろうけど頑張るから。チキショー。


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