「んやー、何でも?こんな場所があったんだなーって、感心してただけだよ」
「あや、それなら大丈夫ですね」



やんわりと微笑むと、マルルゥは嬉しそうな顔で俺の周りをグルグル飛び始めた。

おーい、歩きにくいんだけどー……。



「でも、ごめんなさいねマルルゥ。折角迎えに来てもらったのに、私達三人だけになっちゃって……」
「気にしないでください。マルルゥもお友達を誘ったですけど、断られちゃいましたから」
「そっか……。なら、これから仲良くなれるといいね?」
「そうですよー♪」



予想してはいたけど、やっぱ結構警戒されてんのね。

流石のアティとレックスの表情にも、若干陰りが見える。
俺はそんな二人の肩に、ポンと手を乗せる。



「そう深刻に考えんなよ。島の住人の俺達への警戒は、おそらく誤解と偏見からきてるんだろうさ。今回呼ばれたのは、それを無くすためなんだろうから、あまり暗い表情してんなよ。なっ?」
「そう……ですね」
「確かに、暗い顔をしてたら、仲良くなれるものもなれないもんな」



俺の言葉に、元の明るい笑みを見せた二人。

そうして更に進むこと暫く。
開けた場所に出たかと思うと、何やら泉に囲まれた施設が現れた。


施設と言っても、それ程大層なものでは無い。
椅子と屋根が設けられた、立派な休憩場といった感じか。ロレイラルの技術で作られているのか、無骨ながらも無機質な印象を受ける。



「ニイニイさん、あれが集いの泉ですよ」
「集いの泉?」
「そう言えば、ユキはまだ来たことが無いんでしたね」
「この場所は、護人達が会議をする場所らしいんだ。この前も、話し合いはここで行われたしね」



成る程、護人達が集まる場所だから、「集いの泉」ってわけだな。


そこには、既に四人の護人達が集まっていた。

カイル達を少し説得してみたりしてたし、予定よりも遅れたかな?



「悪ぃ、待たせたようだな」


取り敢えず遅れて来たことに謝罪し、軽く手を上げて苦笑して見せる。


「いえ、構いませんよ」
「あら、あなた達三人だけ?」
「はい……すみませんアルディラさん。折角呼んでもらったのに……」
「一応声はかけたんですけど、どうやらみんな、若干気後れしてるみたいなんです」



アティが謝罪の意を述べ、レックスが一応みんなの弁護をしておく。



「気ニスルナ……我ラトテ、ソレハ同ジナノダカラ……」
「そう言うこった。まっ、今回はそのことで集まったわけなんだがな……。あー、ご苦労だったマルルゥ。お前は帰っていいぞ」
「はいです。どう致しましてー♪」



ヤッファに言われ、マルルゥはフワフワと去っていった。


おお、意外と飛ぶの速いんだなマルルゥ。




「さーって、こっからが本題なわけだが……」
「はーい、その前に一つ、言いたいことがあるんですけどー」
「構わないけど……どうかしたのユキ?」



手を挙げて申し出ると、アルディラが不審そうに首を傾げた。

それには答えずやんわりとした微笑みを返し、俺はヤッファへと顔を向ける。


いやー、こうしてわざわざ言わなきゃいけないことって言うと、アレしかないよね?
違うんだよ、これは誤解を解くためであって、個人的な怨みとか怒りとかは一切無い。ホントダヨ!


胡散臭い笑みをヤッファに向けつつ、一歩、また一歩ヤッファにゆっくり近寄る。

当のヤッファは、不審そうな目で俺を見ていたが、何やら感じるものがあったのだろう。
一歩後退り、体を少し俺から引き気味に傾けた。



そしてヤッファの目の前で立ち止まり、"とびっきり美しい笑顔"を作って――ヤッファを、ぎゅっと包容する。

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