俺達は現在、護人達に会うために会合の場へと向かっている。
アティとレックスはそうじゃないが、俺は前回の島の探索に参加していなかったために、こうやって島の中を歩くこと自体が初めてだ。
海外沿いを歩いていた時には、こんなに舗装された道があるとは思いもしなかったな。
ちなみに今歩いているのは、俺、アティ、レックスで、先導するようにマルルゥが先頭を浮遊している。
マルルゥの来訪の目的は「島の紹介をしたい」と言う旨を伝えることだった。
みんなにも参加を呼びかけたのだが、結局行くことに決めたのは俺達三人だけ。
カイルまで断るとは思わなかったな……。
アイツなら、絶対に行きたがるんじゃないかと思ってたが。
不安、なのだろうか?
はぐれ召喚獣達ばかりの島。
過去に何があったのか、彼らは人間を警戒している。
今回も「島の紹介をしたい」と謳ってはいるが、その実は「俺達を島の住人に紹介したい」なのではないか――。
いや、駄目だな。
疑ってかかったらキリがない。
どんな形にしろ、俺達と接触したがっているのは確かなんだ。
まずは俺達の方から信じなければ、警戒している奴らも信じてはくれないだろうからな。
それとは別に、もう一つ気になることがある。
子供達のことだ。
子供達もみんなと同じく、同行を拒否した。
それだけなら別に何でもないのだが、俺達が部屋を出ていく時――。
アティとレックスは気付いて無いようだったが、俺は横目で捉えた。
俺達の背中をみるアイツらの顔に、年相応の幼さで、悲しげで寂しげな表情が浮かんでいた。
俺の思い違いか、考え過ぎだったらいいんだけど。
「……ニイニイさん、どうかしたですか?」
ふと気が付けば、マルルゥが心配そうな顔で俺を見ていた。
あ、ニイニイさんって俺ね。
何だかセミっぽい感じもするが、「女顔さん」なんてとんでもない呼び名よりは、 遥かにマシだ。
ちなみに何故そんな呼び方になったかと言うと、俺が子供達に「兄」と呼ばれていたかららしい。
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