「スクリプト・オン!!」
「うおっと!?」



突然目の前に、光の壁が現れた。

俺は思わず足を止めて身構える。
すると、男が発動させた召喚術はその光の壁に直撃し、俺は無傷で済んだ。


突然の事態に、男は混乱している。
俺も状況を飲み込めないでいると、後ろから誰かが駆けつけてきた。



「大丈夫?怪我はない!?」
「アルディラ……ってことは、さっきのはアンタが?」
「ええ。あなたが突っ込んだ、ってヤッファに聞いたから、一応援護に来てみたのよ」
「そうか。いやー、今のはマジで助かったぜアルディラ」



アルディラに向かって軽く微笑みかける。

一瞬キョトンとした表情になったアルディラは、照れ隠しなのか、突然俯いて眼鏡を指で上げる仕草を取った。


うはは、この人結構からかい甲斐あるのかも。



「何をゴチャゴチャやってやがる!」
「んー、後は大丈夫だから、アルディラはみんなの援護に回ってやってくれ」
「……わかったわ。無理しちゃ駄目よ?」
「りょーかい」



投げナイフを構えて走ってきた男を確認し、アルディラに後ろの奴らの援護を頼む。

男は手に持っているうちの二本のナイフを投げてきたが、俺は両手の刀でそれを弾く。


刀で攻撃を弾いて隙が出来ようと、この間合いで一対一なら、負ける要素はないな。


男は投げナイフを三本右手に握り、俺の背後に回ろうとしていた。



結構俊敏でいい動きだけど、そんなんで俺の背後をとろうなんて……お粗末な話だ。



「もらったあッ!」
「と、思うじゃん?」



右手の投げナイフで直接斬りつけてきた男の頭上を宙返りで飛び越し、その背中を蹴り飛ばす。


「カッ……!」


よろめく男。

いやぁ、隙だらけですね。


やや手加減して、隙だらけの胴に回し蹴りを入れる。
……つもりだったが、間違えて顔の側面に攻撃してしまった。


あーあ、間違えちゃった。ワザトジャナイヨー、ホントダヨー。



もんどり打って転倒した男の喉元に刀を突き付ける。



「今は手加減して蹴ったが……次は刀で斬るぞ。わかったら、さっさと撤退命令を出しな」
「ゲハッ……!ク、クソッ!人間のくせに、化け物の味方しやがってェ!……総員、退却しろ!!」




男の命令により、帝国兵達は撤退していった。


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