「ミャー♪」
ウィルの後ろから、猫に似た生き物が出てきた。
あれ、今までどこに隠れてたんだろう。
「お、これって召喚獣?」
続いて他の三人の後ろからも、召喚獣らしい小さな生き物が姿を現した。
……いやいや、何で俺に纏わり付くんだよ。
子供達を助けたことで間接的に助けたわけだし、それで信頼し切ってる……のだろうか。まあいいか。
「はっはーん、もしかしてこのチビ達を守ろうとしたからか?」
俯いて頷く四人。怒られるのを恐れてでもいるのだろうか。
「凄いなお前達」
「「「「え?」」」」
見事にハモる四人。きっと仲が良いんだろう。
「武器も持ってないのに、このチビ達を守るために戦おうとするなんて、勇気がなくちゃできないことだぜ?」
ニッコリと微笑んで、四人の頭を順々に撫でてやる。
すると、何故か頬を赤く染める四人。
あー、ユキさんこういう反応あんまり好きじゃないなー。
どうせアレだろ、俺のこと女だとか思ってんだろ?全く嫌になるっつーの。
……まあいいや。
「ん〜、そろそろ焼けたな。ほら、お前達も食べるだろ?」
枝に刺した魚を手にした子供達は、何とも言えない困惑した表情を浮かべている。
「これ、ナイフとフォークはありませんの?」
「あっは、ベルフラウは面白いこと言うねぇ。ほら、こうやってかぶりついて食べるんだよ」
随分お上品な要望だが、ここをどこだと思っているのか。いや、俺もどこかは知らないけど。
俺の食べ方を、まるで信じられないと言いた気に見る4人。
正直、傷付きます。
しかし、流石に空腹には勝てなかったようで。意を決したように魚にかぶりつく四人。
「……美味い!これ、凄く美味いよ!!」
「……本当だ!本で読んだことはあるけど、実際にこうやって食べたのは初めてだ」
「ソースも何も無いけど、こんなに美味しいなんて……」
「こんな野蛮な食べ方なのに、今まで食べてきた中で一番美味しいですわ!」
子供は正直だ。野蛮だとかソースがないとか……大きなお世話だっつーの。
まあ、笑顔で喜んでくれてる君たちに免じて、今回は許してあげます。ええ、今回だけですけども。
子供たちが笑顔で魚にかぶりついているのを、微笑ましい気持ちで見ていたその時――。
近くの茂みが不自然に揺れた。
「……残念だけど、お食事はちょっと中断かな」
俺は子供たちを後ろに退避させ、茂みにいる何かに注意を向けた。
ただの動物なら良いが、先程の件があったように、はぐれ召喚獣である可能性も十分にある。
茂みをかき分ける音は、明らかに近づいている。
俺は静かに立ち上がり、戦闘の構えをとった。
第2話-終-[*prev] [next#]
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