剣から溢れる魔力を感じ取ったのか、マリンゼリー達が怯えている。



「何だこの剣は……だが……この剣なら!」



剣は初めて握ったとは思えない程手に馴染んだ。
そして凄まじいまでの切れ味を誇り、マリンゼリーを一瞬にして葬り去った。

それだけでは無い。
剣から魔力を弾丸のように放つことが出来るようで、1匹目のマリンゼリーを切り裂くと同時に溢れた過剰な魔力が光弾となり、他のマリンゼリーを消滅させた。



『必要になったらいつでも呼べ。我は……お前と共にある……』



戦いが終わるとそう言葉を残し、謎の剣は俺の手から消えた。

あれは一体何だったんだろうか?


……と、それを考えるのは後にするか。
今は、この漂流者仲間の子供達を何とかしないと。



「よいしょ、っと。お前ら怪我はないか?」


不安にさせないように、優しく微笑みかける。

すると子供達は、それまでの緊張の糸が切れて安心したからか、俺に泣きついてきた。
俺は全員を包み込むように抱き締め、落ち着くのを待つことにした。


「よしよし、大丈夫。もう大丈夫だからな」



そうしていると、子供達は心労からか泣き疲れたからか、全員眠ってしまった。

さてどうするかと考えてまず思い付いたのは、まず腹拵えをしようということ。
俺が海に落ちてからどれだけ経ったかは定かではないが、意識がハッキリするとやけに空腹を感じる。とは言え、食糧など持っているはずは無いし。


……釣るか。釣ってみるか。


子供達を日陰に寝かせて、木の枝とツタを使って簡単な釣り竿を作った。
餌は岩場の影にいた虫。正直、あまり触りたくは無いが……そんな贅沢なことは言ってられない。



「おー、大漁大漁。海賊として得た能力かな、これも」



粗末な道具ながら、意外にも入れ食いである。

海賊船でも、暇な時は釣りで食糧確保してたし、俺って結構いい腕してるのかも?



適度な数の魚を吊り上げると、流木を使って火を起こし、枝に刺した魚をその周りで焼く。








「ん……ここは?」
「オレ達、あのまま眠って……」
「僕達、助かったのか」
「そう言えば、あの人は?」
「おー、起きた起きた♪」
「「「「!?」」」」」



暫くして、起きた子供達はその様子を見て唖然としていた。



「あの……これは?」
「食事。腹減ったしねぇ」



帽子をかぶった少年の質問と、他のみんなが聞きたいことは同じだったのだろう。
なんだか釈然としてない顔が、それを物語っている……気がする。

ソロソロと警戒気味に火の回りに集まる子供達を前に、火を突ついていた手を止め、視線をそちらに向ける。



「魚が焼けるまで、自己紹介でもしよっか?俺はユキ。あ、呼び捨てで構わないから」
「ナップだ」
「……ウィルです」
「ア……アリーゼ……です」
「ベルフラウですわ」
「ナップにウィル、アリーゼに……ベルフラウだな。さっきはどうして、はぐれ召喚獣に襲われてたんだ?」



その質問に口ごもる四人。

何か言いにくい事情でもあるのだろうか?



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