子供達は武器になりそうなものを持っておらず、しかも初めてはぐれ召喚獣を目の当たりにしたからか、逃げることもせず、ジリジリと後退っていた。


さて、仕方無い。


折角の漂流者仲間を見殺しにするわけにはいかない。
俺は手近に落ちていた石を広い、はぐれ召喚獣目掛けて投げ付ける。


石が当たったことで、はぐれ召喚獣たちの注意が俺に向く。



「よーう、ちびっ子達!随分危なっかしいな!」
「えっ!?」
「貴女は……!?」



短髪の少年とツインテールの少女が驚きの声を上げた。



「多分、お前達と同じ漂流者さ。それより話は後、俺が相手するからちょーっと下がってな」



ふふん、と軽い笑みを浮かべ、自信満々に胸を親指で指し示す。



「無茶だ!?」
「一人でこの数を相手になんて……!?」



帽子をかぶった少年と長髪の少女は、どうやら心配してくれているらしい。



「気にするな。こういう荒っぽいことは慣れてる」


……とは言ったものの。


実は今の俺には武器が無い。以前まで装備していた刀は、ここに流れ着くまでに無くしてしまったらしい。

まあ、それはいい。

素手でも俺の体術なら、大抵の相手は倒せる自信がある。
が、相手はマリンゼリー。カイルのようにストラが使えるなら問題無いが、通常の素手攻撃がこの軟体生物に効くのだろうか。


あー、見栄切っちまったし、やるだけやるしかないかねー……はは……。



『武器なら……ある』
「え?」



この声はさっきの?



『我を呼べ……我を……召喚せよ』
「ッ!!」



声と感覚に任せて、魔力を集中させる。
すると眩い光と共に、俺の手には見たこともない、妖しく碧に光る剣が握られていた。

剣から、まるで鼓動のような動きが伝わる。
それと同時に流れ込む、圧倒的な力の感覚。


まるで剣自体が俺の一部になったかのように、力が際限無く流れ込んでくる。


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