「どうして・・・、どうしてなの・・・、」


すすり泣く女性は美しい漆黒の黒髪に雪のような肌
濃い桃色の瞳が特徴的でその瞳から涙を流していた
それはもう何度も見た、大人のセシリアで女王のセシリア
これは思い出・・・?いつもとは違う、今度はあの影のような
手が私を襲ってきて・・・、

あの手・・・、セシリアの背中に生えていた翼に似ていた・・・、
まさか・・・?あの襲撃はセシリアが仕向けた・・・?
考えたくもない・・・、セシリアがイヴァラータを滅ぼそうなど



「母よ!何故・・・、どうして!」


セシリアは魔法陣の上に蹲り泣いている
無数の影の手がセシリアに絡みついてはセシリアの
体に染み込んでいく、異常な風景にセシリアへと手を
伸ばすがその手はセシリアを掠ってしまう


「民よ!気づいて!貴方達は不幸だけを見ている!
幸せはいつでも隣にある、女神に騙されないで!」


城の外が騒がしい、窓を開け街の方を見ると
国民たちが旗を持って何か叫んでいた
戦争だ、戦争を起こせと怒り狂う民たちを見て
ぞっと鳥肌が立った


「女神よ!女神に栄光を!」
「母なる神よ!この国イヴァラータに永遠の繁栄を!」


そう叫ぶ民たちの前には微笑む女神の姿あった


「許さない・・・、これ以上貴方の思い通りにはさせない」


セシリアの絞り出た声が聞こえて慌てて後ろを振り向く
そこには、鷲のような翼にヘビのような触手、手は獣の
ような鋭い爪があり目は猫のような化け物が
セシリアの後ろに舞い降りていた


「ひっ・・・、」


化け物だ、名状し難き化け物、こんな物見たことのない
それと同時に軍人たちがドアを蹴り飛ばし入ってくると
同時に化け物は消えたがあの目、緑色の目は憎悪そのものだった
入ってきた軍人たちをよく見れば
シュヴァリエ様や月子さんなど見た事ある人物もいた・・・、


「アルテミシア、これ以上貴様の思い通りにはさせんぞ」


シュヴァリエ様の声と共に月子さんが日本刀を構え
アルテミシアの背中に日本刀を突き刺した
民たちの悲鳴や怒声と共にアルテミシアが笑う


「民よ見よ、女王は民の幸せよりも己の幸せを優先した
恐れるでない勝利を貴様らに授けようぞ!
そうだ怒るがいい!愚かな王を引きずり降ろせぇ!」


アルテミシアが崩れ落ちたと同時に城の門が壊れる


「セシリーア女王!城門が崩壊しました!禁術の解除を!」
「いけません!」
「セシリーア女王?!」


月子さんがセシリアの肩を掴み「頼む・・・、」と絞るよな
声を出す・・・、


「禁術を・・・!私とシュヴァリエだけでいい・・・!頼むから・・・!
じゃないと貴方は殺されてしまう・・・!」

「ルーナ、国民に手を出してはいけません、民は私の
愛おしい子供なのですから・・・、」
「セシリア!しかしそれでは!」

「シュヴァリエ、ルーナを」
「御意・・・、」



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