目を覚ますとベッドの上でアイリンさんが「おはようございます」
と静かに笑った
ここは?と聞くと私の部屋だと帰ってくる
そうか、私はまたセシリアの思い出に・・・、
「私、また思い出に当てられていたみたいで・・・、」
「顔色が余りよろしくないですね、昔のイヴァラータを
見ていたのでしょう」
アイリンさんが淹れる紅茶の匂いと違う甘い香り・・、
「これは?」と聞くと炎が揺らめくキャンドルを
アイリンさんが指さした
「篠様からです、魔術で作られたアロマキャンドルです」
「篠から・・・、あ、そういえば私、話してる時に急に」
「篠様はシュヴァリエ様と共に大聖堂の方へ行かれました
花恵様?どうかされましたか?」
窓の外、テラスの方から嫌な感じがする・・・、
それはアイリンさんも気づいたのかテラスの方へ一歩一歩と
静かに足を進めた瞬間、爆発音と共に窓ガラスが割れ
アイリンさんが吹き飛ぶ
「アイリン?!」
「花恵様!逃げてください!」
「でもっ・・・、」
テラスを見ると大きな黒色の影がグチャグチャと音を立て
こちらへと近づいてきている
恐怖で足が動かない、這いずってベッドから転がり落ち
飛ばされたアイリンさんの所まで行く
アイリンさんはヒュウヒュウッと呼吸をしているが
ボロボロと顔や腕の皮膚に鱗が浮き上がってきており
アイリンさんの魔力が低下しているのが分かった
「花恵様、お逃げください・・・!」
「でも!」
「あれは魔獣・・・、気配は一匹だけではありません、ここは
私が止めますから・・・!」
アイリンが何か呟くと斧が現れアイリンがそれを掴み立ち上がる
「早くお逃げください!」
「た、助けを呼ぶから・・・!待っててアイリン!」
転がるように部屋を出た瞬間、もう一度爆発音
廊下を走ると沢山のメイドが逃げ惑い
軍人達は武器を片手に魔獣と戦っていた
城が襲撃を受けたと怒声が聞こえる
「うー、花恵、煩いうー、」
「タ、タカネ様・・・?!」
「様はいらないうー・・・、それに一気に獣臭くなった」
「魔獣が・・・、沢山いて・・・、それよりミカエ様は?!」
タカネは首をかしげて「シュヴァリエと一緒に大聖堂に行ったけど?」
と言った瞬間、ステンドグラスを割って黒い何かが飛び込んでくる
一見、鷲のようだがとても大きく目は血のように赤い
「とても汚らわしい獣め・・・、」
「タカネ・・・、逃げないと・・・!」
「逃げても無駄だうー、私は竜、こいつは鷲、花恵は人
逃げ足はどう考えてもこっちの方が遅いんだから
いずれは追いつかれて花恵は殺されてしまう」
タカネの赤色の瞳が光ったと思ったら赤色の網が現れ
魔獣に覆いかぶさると別の赤色のナイフが魔獣を貫く
魔獣は耳をふさぐほどの大きさで叫ぶが
「危ないから少し下がって!」と言う声が聞こえ
タカネを無理やり引っ張ると
落雷のような音と共に目の前がチカチカと光
魔獣が泥のようなものに変わり溶けていった
「危なかった、花江様、タカネ様、お怪我はありませんか?」
「たしか・・・、ヒスイさん・・・?」
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