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悲しむ国民の前に立つ一人の女性
女性の桃色の瞳は国民の一人一人を見つめている


「セシリア、貴方はこの国をどうするの?」
「この国を私は守る、栄光の国と言われる国は
未来永劫、永遠に、栄えていなければならない・・・、」


セシリアの隣にいる白色のドレスを着た水色の髪の女性は
フフッと笑うと私を見て「あらぁ・・・?」と首を傾げた
セシリアも私に気づき「貴方は・・・、」とつぶやいた


「みなさん悲しんでいるようですが・・・、」
「あらぁ貴方知らないの?この国の王と王妃が死んだからよ」
「二人はこの国の為に身を捧げた、両親を悪く言わないで」

「あらぁごめんなさい」


水色の髪の女性はセシリアの前に立つとセシリアの額に
口づけを落として「女神の加護よ」と言った
セシリアの額には小さな魔法陣が浮かぶがすぐに消える


「私はアルテミシア、ようこそ迷える愛しいわが子よ」
「貴方が・・・、アルテミシア・・・様・・・?」
「様はいらないわぁ、様と言われるような程私はこの楽園に
何も授けていないものぉ、ねぇ?セシリア?」


セシリアの目線の先にはいない王と王妃の死に涙を流す
国民たちの姿があった
目に光のないセシリアはその国民たちを見て何を思っているのか
私と初めてあった頃のセシリアはとても暖かい春のような人だった
春は冬が無ければ来ない、セシリアの冬は始まったばかりなのだ


「民たちは泣いている・・・、喜びに胸を震わせ歓喜で涙を流している」
「セ、セシリア・・・?」


私がセシリアの名前を呼ぶとセシリアはこちらへと目を向けた


「非道に残虐、欲望に塗れ国民の命を糧に贅沢をした王と王妃が
次はこの国の糧となる、哀れ、哀れね、お父様、お母様」
「可哀想に、本当に可哀想なセシリア、そしてとても美しい子」


アルテミシアの手には桃色の宝石がありそれをセシリアへと渡す
そしてその宝石をセシリアが飲み込んだ
それと同時にセシリアの額にもう一度魔法陣が浮かぶ


「さあ、神子、貴方は私に何を観せてくれるのかしらぁ」


これが人の子が神子になる瞬間・・・、
キラキラとした光がセシリアの体の中へと染み込んでいく
セシリアが私を見て微笑んだ


「恐れないで、この国はこれから素晴らしい国へと生まれ変わる
これはその儀式、ねえ花恵、貴方の知るこの国は素晴らしい国に
なっているかしら・・・?」

「はい・・・、とても・・・、美しい国になってます・・・、」



涙で視界がゆがむ、アルテミシアとセシリアの「お別れね」と
いう声が遠くの方で聞こえた・・・、



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