「花恵・・・!花恵!」
「あれ・・・、」
「良かった!倒れてたんだよ?体が冷えてる中に入ろう」
「あれ私・・・、」


処刑されかけて、でもセシリアに助けられて
いやその前に・・・、セシリアと会ってて・・・、
セシリアと会ってた・・・?
右手の中にある黒い羽に気づいて篠を見る


「あの黒髪の少女見ませんでしたか?!」
「少女?いや、俺が来た時は花恵が一人で倒れてて・・・、
とりあえず部屋の中で温まって・・・、アイリン!」
「はい、花恵様、こちらへ、ホットミルクをお出しします」

「花恵?大丈夫?顔色があまりよくないね、色々あったし
今日は軽く食べて寝たほうがいいね」
「ごめんなさい、篠」


アイリンさんからホットミルクを貰い机の上にある
アイリンさんが作ってくれたらしいサンドイッチを食べる
篠は安心したのか「隣の部屋にいるから何かあったら来てね」
と言って部屋へ出て行ってしまった
私は・・・、どうして昔のイヴァラータへ・・・?
まだあの恐怖と血の臭いが頭から離れない・・・、


「体調大丈夫ですか?」
「はい、疲れが溜まってたみたいで」
「この国は寒さもありますからね、あまり無理なさらないように」
「ありがとうございます・・・、」


アイリンさんが部屋から出て行くのを見守りため息を吐く
あの処刑場は広場に似ていたつまり昔のイヴァラータで間違いない
それにシュヴァリエさんやセシリアが出てきた・・・、
ならばどうして、私はあの場所に飛ばされたのか・・・、
セシリアと会ったから?セシリアが見せた記憶?
目を閉じてもくっきり瞼の裏に浮かび上がるあの悲惨な場所
貴族達の笑い声に紛れて処刑される人たちの鳴き声や怒号が飛ぶ

この国の暗い歴史の一部・・・、今こそ歌や魔法、花と清らかな水
美しい国と言われる国だが、その裏をひっくり返せば奴隷の国
綺麗ばかりではないこの世界はどうも現実の世界と似ている
ふうと息を吐くと嗅いだ血の臭いが体から出て行く気がした

これからもっと沢山知る事になるだろう暗い部分も全てを知って
私はこの世界を愛せるだろうか・・・、
これから私はどうすればいいの・・・?わからない、でもひとつだけ
わかるのはセシリアに救われた分を返したい


「明日は・・・、町に行こう・・・、」

目をつぶると暗闇の中に飲み込まれていく、病院にいる頃は
それが怖くて寝れない日もあった、でも今は、すごく落ち着くのだ



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