「セ、セシリア・・・!」
「花恵、この世界に来てしまったのね」
「どうしてセシリア・・・、私沢山言いたい事があるの」


セシリアは目を閉じると顔を横に振った
「それ以上は言わないでと」まるでそういってるような
セシリアは春が似合うような人だった春に咲く花のように
優しくて温かくてそして綺麗で可憐・・・、そんなイメージを
全て捨ててまるでこの国のように冷たい感情をむき出している


「花恵、今なら遅くない貴方はあの世界に帰りなさい」
「・・・、ごめん・・・、セシリア・・・、それは出来ない」


セシリアの濃い桃色の瞳が闇夜に光る、それが不気味で
初めてセシリアを怖いと思った
これが本当のセシリア・・・、イヴァラータ国のセシリーア女王
息を飲み込みセシリアに一歩近づく


「セシリア、どうして消えてしまったの?」
「私の本体はここにはいないからよ」
「本体・・・?本体って何処なの?篠さんと一緒に探すから」
「篠・・・?」


セシリアは首をかしげる、シュヴァリエの子供でこの国の王子様
だと言うとセシリアは首を横にまたふった


「セシリア・・・、セシリアは私に、嘘・・・、ついてないよね?」
「嘘はついていないわ」
「なら私の傍にいて、置いていかないで」


セシリアの黒い翼がバサリと広がると黒い羽が舞う
あの現実の世界では羽などなかったのにと思い目を細めると
セシリアは微笑み「花恵」と名前を呼んだ


「もしこの世界に好きな人がいて、それを壊そうとする人がいて
花恵、貴方はどうするかしら」




突然の突風

セシリアに手を伸ばそうとするも掴めたのは革のような素材


「ここは・・・、」
「立て」
「え・・・、」


鐘の音、人のガヤガヤする声に顔をあげると金髪の軍人が
私の腕を引っ張りあげるところだった
あたりをみれば灰色の汚れたぼろきれの様な服を着た人が
並ばされており、それを眺める人たちはドレスやタキシードと
お金持ちのような見た目だった


「貴方は・・・、」
「早く立たぬか」


髪の毛の長さや軍服の色なども違うけどシュヴァリエ様に
すごいそっくりだった
自分の着ている服も灰色のぼろきれのようなワンピースだった
事に気づき、列に並ばされる


「ここは・・・、どこ・・・、」
「死にたくない・・・、死にたくない・・・、娘と妻がいるんだ・・・、」
「あの・・・、」
「君は何をしたんだい、まあこの列って事は盗人か」


左の女性が私に話しかけてきた、女性は日に焼けた肌に
綺麗な金髪ですごく綺麗な人なのに同じぼろきれのような
衣類を着ている


「盗人?私は何もしてないです・・・、」
「そうね、私もしてないわ、たぶんここに並ぶ人皆無罪よ」
「では何故・・・、」
「貴族の娯楽のお付き合い・・・、私達は処刑されるのよ」
「処刑・・・?!」


女性は「何も知らないの?」と笑った、ここはイヴァラータ国
アルカヴァチノ国王が納めるイヴァラータ国
アルカヴァチノ王は・・・、セシリアのお父様・・・、
貴族の趣味娯楽のために無実の人が殺され、奴隷制度は酷く
人を拉致して売買する、だけどそれは・・・、セシリアが女王になる前の話
何故急に・・・、


「私・・・、殺されるの・・?」
「そうよ、私達全員ね」




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