時間にしたら30分程度だったとしてもその時間の間でこの
世界をどうするのかそういう話で余裕のすきもなかった
城はとても広く色んな軍人やメイド服を着た女性などが働いている
肌の色や髪の毛の色も皆バラバラで不自然に感じるのは
日本と言う場所は日本人の住む場所であり留学生など外人もいたが
私の知る病院では日本人しかいなかったのもあって不思議に感じるのだ
「イヴァラータはセシリーア女王が王位を継ぐ前、奴隷制度など
あって人種差別など日常茶飯事だったんだよね」
「奴隷制度・・・?」
「そう、貴族の嗜みで死刑を頻繁にしたり、闇市場などもあった
それはセシリーア女王の両親、前イヴァラータ国王の趣味でもあったしね
前イヴァラータ国王は貪欲な所もあったと言われてるぐらいだから
その程度はありえそうだよね、実際に女遊びも酷かったらしいし」
「ああそうだ、何かあれば彼女に言うといいよ、彼女の名前はアイリン
アイリン、花恵に挨拶して」
「はい、はじめまして、春川 花恵様、わたくし、メイドのアイリン
と申します、アルヴァガル出身のドラゴン族でございます」
「は、はじめまして・・・、アイリンさん・・・、」
ドラゴン族?アルヴァガル?初めて聞いた言葉に首を傾げながら
頭を下げるとアイリンさんがふふっと笑った
篠もくすくすと笑っておりカッと顔が熱くなる
「いえ、花恵様、大丈夫ですよ、ドラゴン族は元々珍しい人種ですから
こちらの人でも知らない人は多いです」
「すみません・・・、無知で・・・、」
「どこかの国じゃ無知は罪って言葉があるからね、これから知って行けば
いいんだよ」
篠はそういうとコートを着る
「俺はちょっと調べごとがあるから別のとこいくけど、アイリンがいるから
花恵も自由に動いて良いよ」
「な、なら私もついて・・・、」
「逆に俺がついてると行動し辛いでしょ?俺の用事は少し危険だしね、アイリン頼むね」
「はい」
そう言うと篠さんは部屋から出て行ってしまった
この国の事を知るとかいいながら私は篠さんにおんぶに抱っこ・・・、
ため息を吐くとアイリンさんは一枚の紙を机に置いた
「こちらはこの国の地図です、花恵様はかなり高い魔力を持っておられる
ので、すぐにこの地図は分かると思います」
「魔力?わっ・・・、光ってる・・・、」
「はいこちらは魔術で映してある地図でございます、紙をなくしても手を
壁や机に当てて頂ければほら・・・、」
アイリンさんが地図を破いて私の手を机に当てると地図が
机に浮かび上がった、さらに人差し指でメモなども出来るらしく
アイリンさんが丁寧に一つ一つ国の中を説明してくれた
この国は水路が多くそれを利用して物資を運んだりする
地図の右端にある判子は王族の証らしくゴンドラにタダで乗れたり
イヴァラータ内の店ならタダで食事や買い物もできるという
「なので、物を買うさいなどもこの感じに地図を出してくださいね」
「こんなしてもらって悪いです・・・、」
「いえ、花恵様は国の大事なお客様ですし、私達も同じ証を頂いております」
「本当だ・・・、」
アイリンさんが手を開くと手の中で判子と同じ紋章が浮かび上がる
「軍人は襟に紋章があるので出さなくても色々できるのですが
召使の私達はそのいうのは頂けませんので、魔術を使えるものは貰えるのです」
「そうなんですね・・・、」
「私達や軍人は月のお給料から前借として買い物ができますが、花恵様は
上限がないので好きにお使いください、次にこの国のお金などを説明しますね」
アイリンさんの説明が一通り終わるとドアがノックされる
アイリンさんは一礼してドアを開けると桃色の髪の軍服を着た少女が
部屋に入ってきた
少女は私を見て「へえ」と言うとアイリンさんに紅茶を淹れるよう言った
軍服を着ているから軍人だろうが、アイリンさんの態度からかなり偉い人だと分かる
「貴方がノスタージャ様の娘ねえ」
「は、はい・・・、」
「私は、マリア、マリア・ボーヌ、イヴァラータ軍第二部隊隊長よ」
「春川・・・、花恵です・・、」
「確かにそっくりね、瓜二つ」
マリアさんはどかりと椅子に座るとふふんと言って鼻で笑う
見た目は少女だが雰囲気から私よりも年上にも見えてくる
「貴方の指輪、魔力を押さえつける魔術が刻み込まれてるわね」
「魔力?」
「これだけ強く押さえ込まれてもその高い魔力なら相当ね、まあ
あの方の娘と言われれば納得もするわ」
「私でも魔法は使えるんですか?」
「そうね、土台さえ頑張ればだけど・・・、あら、いやね、意外な客人が」
「客人?」
マリアさんは紅茶を飲み干すとアイリンさんにカップを渡し立ち上がる
「まあ花恵、貴方は私にとって邪魔な存在よ、平和が一番だもの
貴方の存在は光にも闇にもなる、だから早めに芽は刈り取るつもり
それだけは覚えておいて頂戴」
そういうとマリアさんは部屋から出て行った
私の存在が、光にも闇にもなる・・・・、
「花恵様今日はもう遅いので、お食事までゆっくりしてください
お食事のご用意ができるころには篠様もお戻りになると思いますので」
「はい・・・、ありがとうございます、アイリンさん」
「何かありましたら先ほどお伝えした魔術でお呼びください、失礼いたします」
窓の外はもう暗く、テラスに出れば冷たい風が体を一瞬にして冷やす
「こんなに寒い国だったんだ・・・、」
「そうよ、でももう少し経てば雪が降って綺麗になるわ」
慌てて振り向くと黒髪に濃い桃色の瞳、真っ白の肌、セシリアが
微笑み立っていた
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