「最近はイヴァラータ軍の軍人がこの辺をよく歩いている
君がセシリーアに会っていたことがバレているのかもね」
「あっ・・・、だから・・・、」
「ん?もう誰か花恵に会っているの?少なくともセシリーア女王
は生きてて君とずっといたみたいだけど・・・、」


あの私がこっちの世界に来る前に会った、とても綺麗な男の人
あの人はこちら側の世界の人だ、そしてセシリアを探していた
だとしたら、彼は・・・、セシリアを見つけてどうするの?
セシリアは処刑されるほどの大罪人・・・、最悪な考えが頭を過ぎった



「私がここの世界にくるちょっと前に、とても綺麗な、男の人が
セシリアは何処だって聞いてきたの・・・、」
「綺麗な男の人・・・?その人は髪の毛、金髪で長くてで赤色の目だった?」
「いえ・・・、髪の毛は長かったけど金髪ではなかった・・・、
ミルクベージュと言うのかな?そんな髪色で瞳は琥珀色というか
あっそういえば顔を半分包帯で隠していたかな・・・、」


篠は首をかしげると「もしかして」と言って紙とペンを持ってくると
私の前で絵を描き始める、子供のような絵だが特徴は全て
私が現実の世界で見た人とあっている
顔の傷のような物は包帯が巻いてある場所と一致しているから
この人で間違いはないだろう


「そうこの人かも」
「イヴァレータ軍の軍人だよ、でも・・・、おかしいな・・・、この人は
戦死している聞いていたけど・・・、」
「戦死・・・?」

「ああ、この人ね、ルーナ・アニムスナって言って、セシリーア女王
の親衛隊の隊長をしていた人なんだよ、セシリーアの戦争で戦死した
って言われているんだけど、でもセシリーア女王が生きているなら
彼が生きててもおかしくないかもね・・・、」

「ルーナ・・・、あ・・・、」


いじめられて泣きながら家に帰った幼いを思い出す・・・、
あの時、公園で同年代の子供達にいじめられて
家にいたセシリアに縋りついた・・・、
あの時にセシリアが「ルーナ」って言っていた気がする
そう考えたらセシリアがルーナと言うのは結構多かった


「ルーナも小さい頃はいじめられて良く泣いていたわ」
「花恵の嫌いな食べ物はにんじんなのね、にんじんはルーナも嫌いだったわ」
「甘えん坊さんなのはルーナとそっくり、花恵は彼と気が合いそうだわ」
「花恵いらっしゃい、楽園にいる大好きな人の話をしてあげる」


「セシリア・・・、」
「さあ、長話をやめてこれからを考えようか、元の世界には直ぐには
戻れないと思うんだ、俺も手伝ってあげるから暫くはここにいるといいよ」
「ここに・・・、」
「あ!大丈夫!俺は彼女いないしちゃんとこの家は狭いけど俺の家だから」


そういう篠はにっこりと笑うと窓を開けて手招きをする
急いで椅子から立ち上がり窓をのぞくと遠くに見える教会の鐘が鳴った
どこからかヴァイオリンの音が聞こえる、猫の喧嘩する声も聞こえる
知らない土地なのにどこか美しくて綺麗で儚くて・・・、
セシリアの愛した世界は幻想のような全てが芸術のような
そう本の中の御伽噺のような場所・・・、


「俺はこの場所が好き、花恵も最初は戸惑うことが多いかもしれないけど
少しずつでいいから好きになってくれると嬉しいナ」
「少しずつ・・・、セシリアが愛した世界・・・、うん・・・、好きになるよ
だって、セシリアがとても美しい楽園だと言った場所だもの・・・、」


セシリアもこの世界を見て何を思ったのか
でも私はわかる気がする


「とても綺麗、とっても・・・、」




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