青い空を見上げて


動く気にもなれなくて、暫くぼーっと仰向けになりながら空を見つめる。空に浮かぶ雲をゆっくりと見送るように目だけを動かしていると、遠くからわたしの名前を呼ぶ声がする。
返事をする気になれなくて、目を閉じ、風を感じながら五感を澄ましていると、顔に影が出来る。
目を開けて見ると、三十路も半ば程と思われる女性が腰に手を当てて私の顔をのぞき込んでいた。

「ヤマトさん!こんな所にいたんですね!?お屋敷の中を探しても見つからなかったので心配しましたよ!」

眉間に皺を寄せながら叱ってくるこの人は誰だろう。
寝転がったままは良くないと思い、上半身を起こして目の前の女性の話を聞く。
頭に疑問符を浮かべているのが分かったからか、ため息を付いてから女性が自己紹介をした。


どうやらこの人はチサヨさんと言う名前で、私の実家のお手伝いさんの内の1人なのだとか。
手を引かれながら、わたしの家に帰ることになった。

「(不安だなぁ……。違和感とか、よくわからないものがぐるぐるしてる……。)」


「ただいま戻りましたー!
ヤマト様が見つかりましたよー!!
お外でのんびりしてらっしゃいましたー!!」

チサヨさんが叫びながら帰宅を伝えると、目の前や左右の廊下から凄い数と音量の足音が聞こえてくる。
門をくぐる時にも、ふと思ったが、我が家結構おっきいな……。
チサヨさんの一声で沢山のお手伝いさん方に揉みくちゃにされ、心配だから黙って出掛けないで等々のお叱りを360ºから受けてしまった。

お叱りから解放されて部屋に案内されても、変わらずわたしの記憶は薄ぼんやりとしたままだった。







人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -