prologue
ここは、どこだ……?
そよ風が優しく頬を撫でては、髪の毛を小さく遊ばせている。
周りは自然があふれ、街中ではあり得ないほどの澄んだ空気を有している。
此処はどこなのか、とか、私は何で此処にいるのか、とか、ある意味今必要な情報を何一つ思い出せない。でも、一つだけ確かな事がある。ここは、
この場所は、この世界は、少し前まで私が居た所とは異なる。そんな気がする。と、いうこと。
近所やわたしの行動範囲にはこんな場所はない。目線は低いし、小さくなった手、短い足が異常事態である事を示している。どこか聞き覚えのある鳴き声(?)が遠くから風に乗って流れてきた。
「あぁ、早く帰らないと。早く。」
「……帰らない、と。帰る?」
自分で呟いた音がどこか遠くに聞こえた