予想に反して、男達に責め立てられたのはドラクールではなく少女の方だった。
「アタシはただ、この人が水が欲しいって言うから…。」
「クスリ欲しさに余所者に構うな!このアバズレが!」
統率者らしき一人の男が少女に怒鳴りつける。
「彼女の言っている事は本当だ。俺から声を掛けた。」
矛先が己に向くのは承知で、ドラクールは口を挟む。
「ふん…、行け。」
男は顎をしゃくり少女を追い立てる。だが金を受け取っていない少女は、動かなかった。
「行け!!」
焦れた男に大声を出され、少女は恨めしそうにドラクールを睨みながら立ち去った。
「お前は通り掛かりの旅人か?ここは余所者が来る場所ではない。」
男のその鋭い眼光から、少しは話しが出来そうだと彼は判断した。
「此処の主に用事があって来た。」
周りの男達からは響めきが漏れる。
「お前、頭がイカれてるのか?」
「でなければ此処には来ないと思うが。」
ドラクールは真っ直ぐ立ったまま、無表情に答えた。
「一体、何の用だ。」
「非営利な救済活動に興味はないかと思ってね。」
男は溜息をついて腕を組み直した。呆れているのが見て取れる。
「来い。」
周囲の者は騒がしく喚き立てたが男は平然と振る舞い、またドラクールも無表情のままだった。
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