有為転変



ベネディクトが普段利用している軍営の会議室は、建物の最上階にある。壁一面は硝子張りで非常に明るく、見晴らしも良い。

彼女の下にルーヴィンとクラウス、そしてリュユージュが招集された。



ベネディクトはリュユージュに向かい、宣言する。

「本日より、貴方の復権を認めます。」

「ありがとうございます。」

無事に婚礼と卒業を済ませた彼は、これで公然と謹慎解除となった。

「早速だが、今後の任務についてはボルフガングに聞いてくれたまえ。私から彼に説明しておいた。」

クラウスに数枚の書類を渡される。

「承知致しました。」

ルーヴィンは腕を組んでおり終始無言だったが、その眼差しは決して厳しいものではなかった。

「失礼致します。」

彼は三人に対して丁寧に御辞儀をすると、其処を後にした。






クラウスに指定された会議室に入ると、既にボルフガングと第二隊の隊員達が揃っていた。

「おう。」

「将官に、君から説明を受けるように言われたけど。何で?」

リュユージュは先程手渡された書類に目を通しながら、席に着く。

「何でって、親父からも聞いただろう?今は俺が第二隊の副隊長なんだよ。」

ボルフガングは頬杖をついて机をとんとんと叩いている。その態度はまるで、リュユージュに対しての嫌がらせのようだ。

「へえ。初耳。」

「何が初耳だ。俺、こないだお前に言ったぜ?」

「そうだっけ?覚えてない。」

リュユージュは隣に座る隊員の書類に手を伸ばしてそれをめくる。それは彼に配布されたものと、全く同じものだった。

ごく簡単に任務の内容が記されたものと、とある軍事施設の設計図だ。

「これ、ほとんど何にも書いてないじゃない。僕のだけかと思ったのに。」

「だから俺が口頭で説明するって言ってんだよ!」

リュユージュは突然、大きな音を立てて軍靴のままのその両足をどっかりと机の上に乗せた。

その振動と行動に、隊員達は彼に視線を注ぐ。

「だったら早くしてくれないかな。前任の副隊長は、こんな事で僕を苛つかせたりしなかったよ。」

膝の上で両手を組むと、リュユージュはボルフガングを顎でしゃくった。

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