「禁断の恋、って訳か。」

「そんな綺麗なモンじゃねえけどな。」

ギルバートは俯き、赤毛を揺らして首を横に振る。

「俺の罪は窃盗なんかじゃない。恩人に報いず、仇で返しちまった事さ。」

「それで、どうして僕にそんな話しを?懺悔なら聖堂に行った方がいい。」

「ただ、聞いてもらいたかっただけだ。隊長さんにとっては迷惑なだけだろうけどな。」

「特に迷惑だとも思わないけれど、だからと言って何かを感じる訳でもないよ。」

「同情して欲しいんでもねえって。」

ギルバートは苦笑を漏らした。

「そういや懺悔って言えば、刑務所にルーヴィン国師が慰問に御来駕された事があったんだ。」

リュユージュは表情こそ崩さないが、僅かに心が乱された。だがギルバートにはそれを読み取る事が出来ず、話しを続けた。

「俺は遠巻きに一目見ただけだが、やっぱ半端ねえな。雰囲気っつーか威圧感っつーか。厳かで尊い真っ白な威光に包まれていて、本当に眩しかった。」

━━首都を離れてまで、その名前を聞きたくない…!

リュユージュは不機嫌そうな態度でベッドから立ち上がり、部屋を出ようと扉に手を掛けた。

「君は少し休んだ方がいい。」

「え?あ、ああ。」

突然の展開にギルバートは戸惑いながら聞く。

「どっか行くのか?」

「すぐ戻る。君はここを動くな。」

扉が乱暴に閉められた為、立て掛けてあった彼の剣が倒れてしまった。









リュユージュは行き交う人々の間をすり抜け、街を彷徨い歩いた。

ふと、地下に繋がる階段が目に入った。

アングラと言う単語が示す様に、初めて来た土地では好んで入るべき場所ではない。

だが、リュユージュは自分が丸腰である事も忘れ、その階段を下って行った。

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W.A


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