天然ボケ 



「さて。俺んちはココなんだが、君の家はどこ?」

「そこの角曲がってすぐなんで、ここで平気です。ありがとうございました!」

あたしは頭を下げて再びお礼を言い、荷物をもらった。

「じゃ。」

その人は自分の家のアパートの階段を上りながら、手をヒラヒラ振っていた。

けど、瑠乃と歩き出そうとしたその時。

彼は向きを変え、今上った階段を下りて来る。



「どうしたんですか?」

あたし荷物、全部もらったよね?

「いや。俺、タバコ買いに出たんだっけ。すっかり忘れて帰って来ちった。」

思わず、あたしと瑠乃は顔を見合わせた。

そして、大爆笑!

「マジですか!?超ウケるんだけど〜!」

「ちょ、ちょっと瑠乃!」

「そういう雪だって笑ってんじゃ〜ん!」



「若いっていいね。俺はもう、そんな事じゃ笑えねーよ。」

そう苦笑いして、あたし達の横を通り過ぎて行った。

-5-

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