彼女の行く先
相変わらずスーパーで買い物をし、帰路につく。
荷物をひとりで持たなければならなくなったが、その重さにも慣れた。
お父さん、自転車買ってくれるって言ってたっけ。今度見に行ってみようかな。
これから誰かと何かを分かち合う事なんて、ないだろうから。
あたしにはもう、誰もいらない。
瑠乃を先に裏切ったのは誰でもない、このあたし。
だからこれはあたしが受ける罰。
これ以上罪を増やしたくないから、もう誰もいらない。
そう思っていた矢先、信じられないものを見た。
真新しい制服に身を包んだ彼女の、後ろ姿。
あたしが見間違うはずがない。
ウチの方角に向かい、歩く彼女。
瑠乃…!
懐かしさばっかり込み上げて来て、自分の罪なんか忘却していまいたい衝動を辛うじて押さえる。
瑠乃…、瑠乃!!
何度も声にならない叫びを上げ、人に紛れて静かに後ろを離れて歩く。
どこに向かっているんだろう。
まさか、ウチ?
ずっと居留守を使い教えると約束した携帯も教えていない、あたしのウチ?
いよいよ人通りが少なくなり振り向かれたら絶対、気付かれる。
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W.A×