朝日の下(もと)で
テーブルの上にキチンと並べられているラップがかかった人数分の朝食を横目に、あたし達は家を後にした。
公園の外から、ひとりベンチに座っている彼を容易く見付ける。
「いた!ホントにいた!!」
瑠乃は小走りに、彼に駆け寄った。
「おはよ〜ございま〜すっ。」
彼女とは対照的にゆっくり歩くあたし。
「あー。おはよう。」
「何してるんですか?」
「えっと、光合成?」
あたしは公園の入り口から、ふたりを眺めていた。
まだこんなに、距離はあるのに。
あたしの胸は高鳴り、動けない。
さっきまでは会いたくて会いたくて、苦しかった。
今は逃げたくて見られたくなくて話せなくて、苦しい。
「雪、何してんの?おいでよ!」
大声でこちらに手招きする瑠乃。
その向こうにいる彼は驚いた後、あたしに微笑みをくれた。
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