危険な時間
「あ、いっけない。あたし歯ブラシ忘れちゃった。」
「買い置きあったかな。」
瑠乃は未開封の歯ブラシを洗面所に探しに行こうとするあたしを、制止した。
「いいよ、雪。コンビニ行って来るから。」
え!?
「小腹も減ったしね。雪も何か食べる?」
あたしはゆっくり首を横に振る。
「そう?」
財布を手に瑠乃は部屋を出ようとする。
「り、瑠乃!危ないよ。今からコンビニなんて!!」
「え?だってまだ10時前じゃん。」
確かにこのぐらいの時間なら、駅から住宅地へ向かう人達が結構いる。
「携帯も持ってるし大丈夫だよ。」
違う、違うの。
瑠乃ゴメンなさい。
ホントは違うの!
「じゃ、ちょっと行って来るね。」
瑠乃を引き止める言葉がそれ以上見つからず、仕方なく彼女を見送った。
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