未だ、幼く 



「ユキ!!」

瞬間、心臓を鷲掴みにされたんじゃないかって思った。

「待てよ、ユキ!!」

公園の柵を軽がる飛び越えてあたしに一直線。






「返せよ、シャーペン!約束だろ!?」

息を弾ませている目の前の、彼が言った言葉。



もうとてもじゃないが言い表せる心中ではない。

あたしは無言でカバンから取り出し、無言で手渡した。



途端、視界が滲んだ。

大粒の涙がコンクリートに落ちる。



「受かったんだろ?嬉し泣きか?」

相変わらずのジャージに、相変わらずのポケ手。



「バカーっ!!」



あたしは捨て台詞を残してダッシュで逃げた。






「ちょっ…、置いてくなよな。」

一臣くんと一緒だった事も忘れて。



止まらない涙と全力疾走のおかげで、息が出来ないぐらい苦しい。

それだけじゃない。

あの人の顔を見てしまったから。



苦しい…。

苦しいよ…。

これが報われない恋の痛みなの…!?

-24-

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