おせっかい
「え…あぁ、そう…なんだ。」
一臣くんはどうリアクションしたらいいか分からないようだった。
「うん、多分。あたしにも良く分からないけど。」
それ以上は話す事もないし「ありがとう」と言い、帰ろうとベンチを立つ。
その時、あたしに足元に暖かいものが触れた。
1匹の猫。
「あれ?このコ。」
抱き上げて確信する。
「どうしたの?迷子になっちゃった?」
いつもならあの公園にいるはず。
昼間ならあの人に会う確率は低いだろうし、このコ送ってあげよう。
「知ってるの?その猫。」
「うん、いつも違う公園にいるの。」
「ふーん。」
一臣くんは結局あたしに付き合って、一緒に来てくれた。
公園が見えたその時、猫を抱く腕に力が入る。
そして歩みが、止まった。
「どした?」
怪訝そうに振り返る一臣くんとは視線を合わせず、猫を地面に下ろす。
「着いたよ、公園すぐそこだからね。分かるよね?」
ニャーンと大きく鳴き公園へと走る姿を見て、あたしも急いで今来た道を戻ろうとする。
ヤダ。
ヤダよ、見つかりたくない。
会いたくないよ!!
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W.A×