知らずにいるより 



「な、泣くなよ!何、マジで!?」

校門を出て、ほんの数歩進んだだけの距離。

案の定すぐ一臣くんの友達に発見され、冷やかされた。



「カズと離れたくないってか〜?藤堂〜!」

「いつの間にそんな関係になってたんスか、おふたりさ〜ん!」

「うっせーよ!そんなんじゃねー!!」

一臣くんはシッシッって、友達を振り払った。



「気にするなよ、行こう。」

優しく、後に続く様にあたしに指示する。

「カズ、幸せにしてやれよ〜!浮気すんなよ〜!!」

「てーか藤堂!ウチの一臣をヨロシクね〜。」

「ッせーってんだよ!!」

校門に向かって怒鳴る一臣くん。

ちょっと可笑しかった。









学校とあたし達の家のちょうど中間ぐらいにある公園に行き、ベンチに並んで座る。

少し、距離はとって。

「せっかく高校も受かったんだし…あんま気にするなよ。なっ!?」

明るく振る舞おうとする彼と、地の底に落ちたようなあたし。

対照的なふたりの間には長い沈黙があった。



「あたし、一臣くんに言われて初めて分かった。」

あたしはそれを破る。

「コレって失恋なんだ…。あたし、あの人が好きだったんだ…。」

勇気を出して、認めた。

-22-

[] | []

目次 表紙
W.A
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -