えぐられた、傷
あたしはもう深夜のコンビニにも、猫達がいる公園にも、行かなかった。
そして迎えた卒業式の日。
瑠乃も他の女のコも泣いていたが、あたしは泣かない。
もっともっと、悲しい気持ちに支配され続けていたから。
卒業ぐらいじゃ涙なんか出て来やしない。
「じゃあ今日、泊まり行くからね〜っ!夕方、電話する〜!!」
「うん!!」
あたしは瑠乃にわざとらしいぐらい明るく手を振り、卒業証書を持って校門をくぐる。
みんなで打ち上げしにカラオケとかに行くんだって。
一応あたしも誘われたが、断った。
家庭の事情を知ってるコの方が多いため、すんなり引き下がってくれた。
あたしの中学生活は、地味だったけど円満に終えた──
「お〜い、帰んの?」
「あ、一臣くん。」
「何だよ。失恋でもした様な顔してさ。」
って、思っていたのに。
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