引っ張られるあたし
「あッ、またいた。」
「そっちこそ。また来た。」
あれからあたしは、深夜のコンビニに行くのが日課になっていた。
お父さんには「明日の朝のおかずを買い忘れた」とか、言い訳して。
まるでお迎えにでも行ってるみたいに『段ボールの人』も、あたしと一緒に帰路につく。
「毎日、コンビニで何してるの?」
一緒に出るって事は、用事があってコンビニにいるんじゃないよね?何も買ってないし。
「あー、えっと。暇つぶし?」
的中。
てゆーか、何故に疑問形?
「ユキちゃんは?」
「息抜き、かな。」
「そっちのがカッコ良いな。俺も息抜きにしよう。」
何ですか、ソレは。
「ね〜、名前教えて下さいよ。」
「別に『段ボールの人』でいいってば。」
彼は歩きながら、タバコに火を着ける。
「じゃあ、年は?」
「秘密。」
教えて教えてって、しつこく絡むあたしを見て
「あの時の猫みてー。」
と、ちょっと笑った。
「ユキちゃんは高3には見えないね。中3?」
うん、って頷いた。
「今度、一緒にエサやりに行こうな。息抜きに。」
『行く?』とかってお誘いじゃなくって。
それは、決定。
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