善悪の区別
ダウンを着込んでしっかり施錠し、スーパーとは逆方向のコンビニへと向かう。
価格の高いコンビニにはあまり行かない。
受験シーズン突入前は、たまにお父さんに買い物に行かされてた。しかし今その役目は、弟に成り代わっている。
こんな深夜に!って、中学生ってバレて補導されたりしないかな。
そしたら内申に響くどころじゃ済まないよね。
なんでだろう。
『それでもいいや』って思っている、自分がいる。
いい訳ないのに。
あたしには、後がないのに。
時間も選択の余地も、もうない。
たったの5分もかからない、道のり。
あたしはそんな事ばっかり考えていた。
ぽつんと明るいコンビニ。
駐車場には若い男の人達が座り込んでいた。
ドキドキしながら彼らの側を通り過ぎ、自動ドアをくぐる。
レジにいた店員が、チラッとあたしを見た気がした。
昼間とは全然違う。
もっと人がたくさんいて、店員さんも「いらっしゃいませ」って言ってくれるのに。
活気がないね。当たり前なんだろうけど。
牛乳のある場所に足を進めつつ店内を観察した。
立ち読みをしている男の人がひとりいるだけ。
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W.A×